542:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:32:28.93 ID:PLPcklEN0
病み上がりとは思えない運動神経で、一筋の光のように虹が通り過ぎる。
それらが崩れ落ちるより先に、虹は顔面に浴びた返り血を舌で舐め取り、瞳をギラつかせながら走り続けた。
『ここの通路情報をハックした。さっきの人間牧場から採取した胎児を、加工するエリアみたいだ。無駄な殺戮はやめよう。もっと下るよ。エレベーターエリアは左だ』
543:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:33:35.70 ID:PLPcklEN0
『何だ……? 量子波がマイクロコンマゼロ八秒で、異常値を感知! 魔法だ!』
『遅い!』
虹が脳内通信で怒鳴る。
544:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:34:20.16 ID:PLPcklEN0
『解析完了。異常値を二つ感知。人間じゃない』
『魔法使い?』
『そのようだ』
545:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:34:50.46 ID:PLPcklEN0
それは、通路を削り、地鳴りを引き起こしながら、凄まじい勢いですっ飛んでいき、正面の通路に突き刺さり……はしなかった。
キュン、という音がして、斜め上に弾かれる熱波。
そのままそれは、数メートルも壁の岸壁を抉って止まった。
546:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:35:33.74 ID:PLPcklEN0
その向こう、今しがた熱波を弾いたところに、ポツリと、真っ白な毛をした猫とネズミがいた。
ネズミは猫の頭の上に乗ると、口をもぐもぐと動かした。ハスキーな少年の声が響いた。
「避けられた、避けられたね」
547:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:36:16.29 ID:PLPcklEN0
それに向けて、一直線にチェーンソーを振り下ろす。
迂闊な坑道だった。
本来ならガゼルが、何とかして制止しなければいけない行動だった。
548:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:36:50.06 ID:PLPcklEN0
ガゼルが叫ぶのとほぼ同時に、アルビノのネズミがジャンプした。
その尻尾がヒュンと動く。
途端。
549:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:37:24.48 ID:PLPcklEN0
「食べちゃう? ねぇ食べちゃう?」
「そうしましょう。ええ、そうしましょう」
ズルズルと、血の跡を引きずりながら這い出した虹を見て、無表情のまま猫とネズミが足を踏み出す。
550:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:38:03.74 ID:PLPcklEN0
『逃げない!』
彼女の瞳が真っ赤に光る。
『サイド55で接続開始。全ての設定をニュートラルへ。BMZ抗体安定。レッドラインで連結』
551:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:38:28.26 ID:PLPcklEN0
「何だか面白いことをし始めたよ、面白いよ」
「ええ、面白いわ。とても面白い」
二匹がカッカと笑う。
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