557:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 00:50:05.97 ID:Fz6z8l7g0
新緑の鮮やかさが残る初夏の終わりかけ。天の助けが現われた。
「お母様ありがとぉ〜、ってミサカはミサカはプロの手際に恐れ入ってみたり」
「大げさよぉ。もうこんなやつれた顔してっ。若いのにっ」
558:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 00:51:57.85 ID:Fz6z8l7g0
結婚一年の新婚さんの元に長期滞在するなんて野暮な事、もちろん美鈴はするつもりはなかった。せいぜい一泊させてもらえばいい。
その後はホテルに泊まって、美琴と遊べばいい、と計画していた。
しかし、普通の人生を送ってこなかったこの夫婦だからなのか、予想以上に疲労困憊していたため、数泊を申し出たのである。
559:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 00:55:45.50 ID:Fz6z8l7g0
ポルシェにエンジンをかけるのも、どれくらいぶりだろう。懐かしい重低音に心が弾む。ましてや隣に打ち止めを乗せるなんて、数ヶ月無かったことだ。
大急ぎでメイクしてヒールを履いた打ち止めの装いは、結婚前のデートを思い出させる。
行き先など相談せずに出発してはみたが、どこへ向かおうか。
560:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 00:57:53.91 ID:Fz6z8l7g0
昼の明るいうちから(しばらく利用できていなかったが)いつものビルに入っているホテルに行くのは恥ずかしかったので、
違う場所を選んだ。そこのスイートのバスルームは、へりにつかまってバタ足できそうなほど大きい。
疲れたそばから、湯にたゆたって癒せるのだ。これは便利。
561:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 01:00:04.12 ID:Fz6z8l7g0
目一杯遊んだ後は、一緒にベッドに転がってピロートークの時間。少しだけ、ほんの少しだけ子育てのことを忘れて、恋人同士の二人に戻る。
これも御坂美鈴のおかげだ。そこで打ち止めにある思いつきが浮かんだ。
562:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 01:06:07.59 ID:Fz6z8l7g0
いくつか見繕っていた式場のひとつに、なんとか空きが見つかった。司祭もスタッフも必要ない、写真撮影だけしてくれ、という条件ゆえに了承が得られた。待機や衣装替えなどの準備をする控室と、教会を一時間ほど貸し切る。
「まだか」
「もういいよー、ってミサカはミサカはあなたにお披露目してみたり!」
563:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 01:08:21.15 ID:Fz6z8l7g0
赤い絨毯が敷き詰められた撮影用の小さなスタジオで、数枚の写真を撮った。
これらは後で家族に見せなければならない。同席を断った手前、せめて写真は見せないと不義理が過ぎる。
もちろん、御坂美鈴にも「渡さないと護を抱いて、ついて行く」と言われていた。
564:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 01:11:49.83 ID:Fz6z8l7g0
(こんな風にバージンロードを歩く夢を、ミサカはいつから抱いてたんだっけ……?)
(こンな風に明るい世界の象徴が俺の身に起こるなンて、あり得ないと思っていたが……)
565:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 01:13:23.08 ID:Fz6z8l7g0
今から八年前、一方通行という名で呼ばれる男と、打ち止めという名で呼ばれる女は、狂気の中で出会って縁を持つ。
大切なひとは、やがて愛するひとになった。
566:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 01:14:13.23 ID:Fz6z8l7g0
「うぅ。ミサカ、あなたの赤ちゃんをたぁーっくさん産んであげるね! 野球チームが作れるくらいに!」
「……ほどほどに頼む」
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