過去ログ - 勇者「淫魔の国の王になったわけだが」
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◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:22:31.43 ID:h7sEMOtHo
雨粒が、へし合う二つの刃に落ちた。
堰を切ったように、徐々に勢いを増し――その姿勢のままの両者を、重く濡らしていく。
どちらも、微動だにしない。
以下略
101
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◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:23:02.54 ID:h7sEMOtHo
問いかけに、彼女は答えない。
答える事が、できない。
眼前の男の全てを把握できた訳ではない。
相手は、強い。
以下略
102
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◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:23:37.30 ID:h7sEMOtHo
ばしゃぁ、という盛大な水音を合図に、「決闘」は再開された。
降りしきる雨の中を、黄金の武具纏う「戦乙女」と、暗黒の剣を握る「勇者」が切り結ぶ。
雨粒を裂いて、ワルキューレの斧槍が左から右へ、横薙ぎに襲い来る。
首元を狙って放たれた初撃を大きく身を反らせて空振りさせると、
以下略
103
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◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:24:58.37 ID:h7sEMOtHo
呼吸さえ忘れて、切り結ぶ中で。
遂に、勇者の剣がワルキューレの防御を跳ね除けた。
大きく後方に弾かれた斧槍に引っ張られて、ワルキューレは体勢を崩し、無防備な姿をさらけ出す。
がら空きの胴へ向かい、左下段から引き起こすような軌道で切り上げる。
以下略
104
:
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:25:58.78 ID:h7sEMOtHo
身を二つに折って吐き気を押さえ込んでいる彼女の眼に、「赤」が飛び込んでくる。
下を向いた視界に、濡れた芝生に落ちる赤い雫が見えた。
勇者「やる、のか?」
以下略
105
:
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:26:37.87 ID:h7sEMOtHo
晴れ間の下、重い残響音が広がる。
どさりと何かが落ちる音が、二人からやや離れた地点から聞こえた。
空から降り注ぐ光の中、彼女は斧槍を失い、膝を折っていた。
勇者は切り払った姿勢のまま、彼女を見下ろす。
以下略
106
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◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:28:08.96 ID:h7sEMOtHo
勇者「ならばいい。さて………とっ!?」
ワルキューレ「?」
勇者「ちょっ……剣が手から離れない!」
以下略
107
:
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:28:59.71 ID:h7sEMOtHo
勇者「おお……」
堕女神「終わりです。もう、それは普通に扱えるかと」
勇者「何で最初っから解いて持ってこない?」
以下略
108
:
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:30:29.98 ID:h7sEMOtHo
堕女神「はい。……その前に、失礼いたします」
勇者「ん?」
彼女が口元に手を当て、掌へ息を吹きかける。
以下略
109
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◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:31:52.14 ID:h7sEMOtHo
ワルキューレは、堕女神に導かれるままに、城内を歩く。
雨に濡れた肌が、歩くたびに熱を奪われて寒くなる。
戦っている時は体の高まりによって相殺されていたが、終われば寒くて仕方が無い。
ふるふると震え始めるが、それを何とか隠そうと努める。
目の前を歩いているのは、自らの力を奪い、地下へと幽閉した存在なのだから。
以下略
110
:
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:32:26.84 ID:h7sEMOtHo
勇者が自室で着替えていると、ドアが叩かれる。
ノックの音にはどこか乱れがあり、三年間毎日聞き続けた彼には、それだけで違和感だった。
勇者「堕女神……か?入れよ」
以下略
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