過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:26:17.86 ID:JGE6sUjjo

 気だるさに溜め息をつくと、すぐ傍から声が聞こえた。

「起きた?」

以下略



52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:27:05.54 ID:JGE6sUjjo

 少し考えて、思う。"何年も話していない"? そうだっただろうか。
 俺が彼女と最後に話したのはいつのことだっけ? 何年も前だっただろうか?
 そうだという気もするし、つい昨日、話をしたようにも思える。

以下略



53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:27:34.73 ID:JGE6sUjjo

 彼女は特に感情もこもっていないような溜め息をつき、それからくすりと笑って言った。

「こういうところ、好きなの?」

以下略



54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:28:06.88 ID:JGE6sUjjo

 おそらく俺にとって最大の問題はそこなのだ。俺には選びたいものがない。
 欲望するべき何かがない。欲しいものなんてなにひとつないし、行きたい場所なんてどこにもない。
 だったら、馬鹿げた努力を続けて"世間"にとどまり続ける理由はあるのだろうか。

以下略



55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:28:30.55 ID:JGE6sUjjo

 惰性に支配された人間にとって、未来は向かうものではなく問答無用に襲い掛かってくるものだ。
 そこに自分の意思は存在しない。前には進んでおらず、また立ち止まるわけでもない。
 ただ、今まで歩いてきたのだから、まぁ、歩き続けたところでかまわないだろう、というわけだ。
 ベルトコンベアーに載せられているのと変わらない。
以下略



56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:28:57.44 ID:JGE6sUjjo

 惰性というものは唐突に効力を失う。そこにはなんの予兆もない。
 あたかも電池が切れるかのように、突然、ぷつんと途切れてしまうのだ。

 前もって回避することは困難だし、常にそれを警戒していては疲弊してしまう。
以下略



57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/04/25(水) 19:29:56.80 ID:JGE6sUjjo
つづく


58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/04/26(木) 13:11:00.11 ID:Cz0n/SBjo

誤字脱字訂正

4-9 想想 → 妄想

以下略



59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/26(木) 13:11:32.44 ID:Cz0n/SBjo

 自然科学部の部室には誰もいなかった。
 四人分の鞄は置いてあるので、帰ってはいないだろう。例の噂について調べているのかもしれない。

 夕陽が窓から差し込み、赤と黒のコントラストを作り出している。
以下略



60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/26(木) 13:12:03.54 ID:Cz0n/SBjo

 考えごとをやめてふと窓の外を見ると、世界は深い藍色に染まっていた。
 部員たちはまだ帰ってこないらしい。 時計を見ると、案外早い時間だ。
 そこで俺は雨音に気付いた。こんなに暗いのは、どうやら雨が天気が悪いかららしい。

以下略



61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/26(木) 13:13:16.39 ID:Cz0n/SBjo



 廊下を歩いても、人とはほとんどすれ違わなかった。時間が時間なので当然と言えば当然なのだが、天気も相まって不気味に思えた。
 
以下略



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