20: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:10:10.76 ID:bzATqBdvo
  早々にレジを済ませ鞄に放り込み、 
  漫画コーナーをうろついているなっちゃんに声を掛けた。 
  
 「なっちゃん何買うの?」 
  
21: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:10:46.84 ID:bzATqBdvo
  雑誌コーナーに足を運ぶと、和ちゃんと英子ちゃんの姿を見つけた。 
  棚にはライフスタイル、料理、暮らし、といったラベルが貼られている。 
  
 「風子、私雑誌見てくる」 
  
22: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:11:17.54 ID:bzATqBdvo
 ―――――――――――――――― 
  
  私たちは本屋をあとにし、しばらく歩いた。 
  雑貨屋、服屋、ファーストフード店、誘惑に耐えつつときには耐えられず。 
  
23: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:11:50.77 ID:bzATqBdvo
  二人と別れたあと、なっちゃんと夕焼けの道を歩いた。 
  荷物を持ってあげようかなと思いつつ、 
  そこまでするのは変だなと考え直し、 
  当たり障りのない話題を振りながらしばらく歩いた。 
  
24: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:12:23.45 ID:bzATqBdvo
 ―――――――――――――――― 
  
  夕食を終えてお風呂に浸かっていると、 
  昼間何を考えていたのかわからなくなりそうだ。 
  
25: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:13:15.81 ID:bzATqBdvo
  晩御飯を食べる、お風呂に入る、勉強に取り掛かる。 
  受験が終わるまでこのリズムは崩さないだろう。 
  
  合格するために勉強する、第一志望に合格しみんなと離れ離れになる。 
  まるで一人になるために勉強してるみたいだ。 
26: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:13:50.19 ID:bzATqBdvo
 ―――――――――――――――― 
  
  たまには一人で勉強するのもいいものだ、教室には人一人居ない。 
  オレンジ色が教室を染めている。椅子、机、教壇、それに私。 
  幻想的ではないけれど心が落ち着く。 
27: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:14:19.21 ID:bzATqBdvo
 「もうすぐ卒業だね」 
  
  何気なく話し掛けた、この時期の学生はそれが挨拶だという風に。 
  彼女は「そうね」と軽く言いまた用意に戻った。 
  
28: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:14:50.15 ID:bzATqBdvo
  思わず棘のある言い方をしてしまったが、もう取り消せない。 
  
 「風子?」 
  
  和ちゃんの声が変わった、いつもの様な明瞭とした声ではない。 
29: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:15:24.60 ID:bzATqBdvo
 「そう、だったの……」 
  
  ようやく和ちゃんが口を開いた。 
  沈黙に耐え切れなかったのだろう。 
  それは私も同じ事で、話を続けずにはいられなかった。 
30: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:16:36.15 ID:bzATqBdvo
 「ごめんねこんな話しちゃって、迷惑だったよね?」 
  
 「そんなことないわよ。他の誰かに話した?」 
  
  私は目を閉じてうつむいて、涙がこぼれないようにしていた。 
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