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2012/06/21(木) 02:37:50.29 ID:WJc3nC3DO
高校最後の夏休みも後半を迎えた8月19日。
3人で腰掛けたベンチは、空と同じ薄い青色だった。
「両手に華だね、真君」
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2012/06/21(木) 02:40:14.28 ID:WJc3nC3DO
まだアイドル候補生のボクらは、できるだけたくさんのオーディションを受けるように促される。
場慣れさせるって意味もあるし、運良くオーディションに合格してそのままデビューする可能性だってある。
残念ながら、竜宮小町以外のメンバーはいまだに候補生のままだったけど……。
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2012/06/21(木) 02:42:27.05 ID:WJc3nC3DO
「あっ!ミキ、そろそろボーカルレッスンに行かなきゃ!」
携帯電話の時計を確認すると、14時45分だった。
「ボクと雪歩は16時からダンスレッスンだね」
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2012/06/21(木) 02:44:47.78 ID:WJc3nC3DO
そのあと当然のように絡まれたボクたちだったけど、雪歩の、
「わ、私のお父さんは萩原建設の社長なんですぅ!」
って一言を聞くなり、顔を真っ青にして走り去っちゃった。
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2012/06/21(木) 02:47:06.48 ID:WJc3nC3DO
「みてみて真君!あの子とっても可愛いの!」
あれは確か今年の1月。
同じオーディションに参加していた美希に言われて視線を送った先には、透き通るような白い肌の女の子が、怯えたように立ちすくんでいた。
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2012/06/21(木) 02:48:53.91 ID:WJc3nC3DO
「美希!あの子!」
「真君もやっぱり覚えてた?」
夏休みに入って1週間が過ぎたころ。
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2012/06/21(木) 02:52:39.41 ID:WJc3nC3DO
「学年は高校3年生。ウチの事務所だと…そうだ、菊地君と同学年だ!」
社長の声に反応したみんなが、一斉にボクの方を見た。
そしてその視線をたどるように、雪歩も。
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2012/06/21(木) 02:55:31.20 ID:WJc3nC3DO
「私、天海春香って言います!よろしくね、雪歩ちゃん!」
「こちらこそ。あと、呼び捨てでいいよ?」
「ホントっ?じゃあ……よろしくね、雪歩!」
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2012/06/21(木) 02:57:55.79 ID:WJc3nC3DO
「あっ!私、ちょっと事務所に行ってくるね」
「うん、行ってらっしゃい」
何か確認しておくことでもあったのか、食べかけのサンドイッチを置いたまま、雪歩は事務所へと降りて行った。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/06/21(木) 03:01:16.68 ID:WJc3nC3DO
「あ〜あ……」
ボクは肩掛けバッグを手に取り、軽く叩いてホコリを払った。
そして散らばった中身をバッグの中へと戻していく。
ポーチ、財布、手帳、リップクリーム、白いハンカチ、そして……、
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2012/06/21(木) 03:04:32.13 ID:WJc3nC3DO
容器の中から漂ってきたのは、甘く優しく、そしてどこか儚い香りだった。
そう、まるで雪歩のような……。
「あ…れ……?」
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