過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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868:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/10/11(木) 23:18:58.88 ID:UgVSypyPo

皮肉を言ったつもりだが、あやせは微笑むだけで、俺の言葉などまったく意に介さない。
傘の柄を指先でもてあそびながら、少女と呼ぶには似つかわしくないほど魅惑的な瞳を俺に向ける。
あやせがこういう眼差しをしたとき、俺にとっては大抵ロクなことがない。
と、そう思ったとき、俺の目は、あやせが学生鞄と一緒に持っていたある物に留まった。

「……それ、紫陽花じゃねえか。……麻奈実んとこにあったやつだろ?」

「ええ、お姉さんに分けてもらったんです。
 赤紫色の紫陽花なんて、珍しい気がして、……紫陽花というと、青い色が殆どじゃないですか」

俺と紫陽花談義がしたくて、あやせがここに佇んでいたわけじゃねえことは確かだ。
あきらかに、俺に話があって待ち伏せしていたとしか思えない。

「お姉さんの家でこの花を見ていたら、わたしも植えてみようかと思ったんです。
 ……わたしが育てたら、どんな色の紫陽花が咲くんだろうって」

「赤紫色の紫陽花は赤紫だろうし、元が青けりゃ青い花が咲くんだろ?」

あやせが何を考えているのか分からねえうちは、適当に話を合わせておくのが無難だ。

「お兄さんは……気付いてないんですね」

冷めた瞳で俺の顔を見ながらそう呟いて、大きなため息をひとつ吐いた。
あやせは俺の顔を残念そうに見つめたあと、踵を返して黙って歩き始めた。

「お、おいっ。……なんで黙って帰ろうとしてんだよ」


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