過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
↓ 1- 覧 板 20
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 21:19:26.22 ID:4DOG5YTr0
◆No.2 Aya Ayano
桜木さんが亡くなった数日後のある日のこと、
私は学校をずる休みした。
お母さんには、桜木さんの事故現場を警察が捜査するから、
急遽学校が休みになったと嘘をついた。
でも私は、ここ最近のクラスの空気が耐えられなかった。
桜木さんがあんなことになってから、
クラスの空気がピリピリして、いるだけで息苦しくなってくる。
そんな訳で私は、現実逃避したという訳だ。
とは言っても、家にいたって孤独で不安になるし、
気分転換に外に出かけて、ちょっとおしゃれしてみた。
黒い帽子にネックレス、途中で暑くなったから上着を腰巻きにして、
うん、我ながらなかなかのコーディネート!
こういっちゃんと会ったのは、本当に偶然のことだった。
「あ、お仲間はっけーん!」
こういっちゃんが振り向いてくれたので、思わず顔がほころんでしまう。
「えへへ。やっほー!こういっちゃんもバックレ?」
「いや、病院の帰りなんだけど」
確かに、こういっちゃんは学校をサボるようなタイプではない。
てっしーなら、やりかねないが。
「ア、アハハハ・・・そうか、そうだよねぇ」
「綾野さんは、風邪でも引いたの?」
こういっちゃんは、私がずる休みしたとは、まだ気づいていないらしい。
「あー、そうそう。ゲフンゲフン」
「ははは。綾野さん、演技うまいね」
オーバーすぎたせいで、すぐにバレてしまった。
でも、演技がうまいと褒めてくれたのは、ちょっと嬉しかった。
それから私は、自分が演劇部に所属していることを、
ハムレットの有名なシーンの演技を交えながら、
こういっちゃんに説明した。
154Res/348.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。