過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 22:14:07.11 ID:4DOG5YTr0
そうして色々無駄話をしてる最中、突然榊原が部屋のドアを開けてきおった。
「火事だぞ、逃げろ!」
「え?」
「火事?」
そう言い残すと、榊原は風のように去ってしもうた。
じゃけん、火の手は特に上がっておらん。
半信半疑でとりあえず避難の準備だけでもしようとしたその時、
拍子抜けしそうなチャイムが、部屋に鳴り響いた。
「殺せえええええええええ!!!」
杉浦の凄みの入った叫び声に、アシも王子も怯んでしもうた。
見崎を殺せば災厄が止まるとゆっちょったが、そんな単純なもんじゃろうか?
そうこうしてはおられん。
アシと王子はとりあえず部屋を出て、一階のフロントまで辿り着いた。
二階の方がなにやら騒がしいけんど、
まさか皆、見崎を襲いだしてしもうたんやろか?
「本当に見崎さんなのかな?」
王子は杉浦の言っちょることを初めから、信じちょらんようじゃ。
「あの女は怪しいぞな」
「そうだけどさ・・・」
アシも、見崎が『死者』だとは本気では思っちゃおらん。
じゃけんど、見崎は周りにペースを合わせんというか、
一人だけ妙に浮いちょる感じがしよる。
久保寺センセが死んだ時もやけに冷静やったし、
いなげな所をさがせば、ぎょうさん出てくる。
疑われても、しゃあないかな?と思うところはなくもない。
せやからと言っても、アシは見崎の命を狙おうなんて
これっぽっちも思っちょらんが。
と、どこからか異臭が漂ってきおった。
「うん?なんか焦げ臭いのう」
「火事だって言ってたよね?」
「火は見えてねぇけんどなぁ・・・」
ふと、アシと王子は振り向いた。
「食堂か?」
すると王子は、食堂の方に向かっていく。
「王子、なんか煙が出とるし、ドアなんか触ったら火傷するぞな」
と思いながら、王子がドアを開けたその時、
『ドゥゴォォォォォォォォォン!!!!!』
目の前が一瞬光り出したと思うと、耳をつんざくような爆音と
地震が起きたかの思わんばかりの地響きがきよった。
そして王子は、あっという間に火柱に取り囲まれてしもうた。
熱風で吹き飛ばされそうになる。
アシは間一髪のところで逃れたが、王子はどがいしたならや?
ふと熱風が通り過ぎるように消えてしもうた。
じゃけんど、次にアシは信じられんものを見てしもうた。
プスプスと音を立てて、細長くて真っ黒いものが崩れ落ちる。
まさか・・・あの消し炭みたいなもんが、さっきまで王子やったものか?
無惨にも変わり果てた王子の、その惨状を目の当たりにしたアシは
全身の力が抜け、ガクガク震えたかと思うと、
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
気がついたら、その場から一目散に逃げ出しておった。
嘘じゃ、あんなの嘘じゃ!!!
これは悪夢じゃ、アシは悪い夢を見とるに違いないぞな!!!
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