24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:26:01.01 ID:NZSihzP+o
『律子姉ちゃんが僕を拒絶しようとするからだよ』
ぽちゃぽちゃとペットボトルを揺らしながら、彼は嘲弄する。だが、そこで、涼は小首を傾げた。
『このところは従順だったのに、どうしたの?』
25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:26:57.81 ID:NZSihzP+o
「ね、律子姉ちゃん」
涼はしばらく私を見つめていたが、額に浮かんだ汗を拭ってから、声をかけてきた。
「律子姉ちゃん、僕を説得したりしないよね。なんで?」
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:27:54.44 ID:NZSihzP+o
「一つだけ訊かせてほしいの」
「ん?」
「きっかけはなんだったの? あなたを、決意させたのは」
27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:29:17.52 ID:NZSihzP+o
――18日目
ストックホルム症候群。あるいはその対となる、リマ症候群。
監禁状態にある人間が犯人に感化される。あるいは逆に犯人のほうが人質を思いやるようになる。
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:30:07.44 ID:NZSihzP+o
思うに、涼の目的がわかってきた時が、一つの転機だったように思う。
涼は、私には執拗に繰り返した性的陵辱を、まなみさんや石川社長には加えていない。当人がそう私に語ったわけではないが、彼女たちに対する
復讐行為について聞く限り、その気配がない。
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:31:23.64 ID:NZSihzP+o
――24日目
『では、次のニュースです……』
時折、涼の気まぐれで、壁のモニターにテレビ番組が映されることがある。リアルタイムなのかどうかもよくわからないが、外の世界の刺激は私をわずかばかり慰めてくれた。
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:32:45.07 ID:NZSihzP+o
――30日目
涼に言われてシャワーを浴びると、ベッドの上に服が一揃いあった。
透明な壁の方を見ると、涼の姿はない。厨房にでもいるのだろう。
ともかく、このスーツを着ろという指示だと判断して、それらを身につける。
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:33:57.22 ID:NZSihzP+o
「ありがとう」
涼にお礼を言われ、無条件に体が温かくなる。
「半年くらい前かな。社長から、例のことを言われたんだ」
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:34:44.00 ID:NZSihzP+o
「僕は、律子姉ちゃんと一緒に始末するつもりだったんだよ。僕をね」
やっぱり。予想通りだ。
「心中ね」
33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:35:48.90 ID:NZSihzP+o
エピローグ
病室は随分前から沈黙に支配されていた。
けして不穏な沈黙というわけではないが、緊張感は常に存在していた。
34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:37:37.17 ID:NZSihzP+o
そんなわけで、個人的にはりゅんりゅん♪エンドよりきついだろうと思う涼のBエンドを書いてみました。
これもりょうりつになるんでしょうかね。
短いですが、おつきあいありがとうございました。
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