64:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 19:39:12.55 ID:bOaug2Ec0
女は、その紙切れが何だったか待ち兼ねたというように急いでのぞきこんだ。
男も全く早く見たかったのだ。
ところがそれはいちめん黒い唐草のような模様の中に、おかしな十ばかりの字を印刷したもので、
65:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 19:42:01.76 ID:bOaug2Ec0
そしてきまりが悪いので女と二人、また窓の外をながめていたが、
その鳥捕りの時々大したもんだというようにちらちらこっちを見ているのがぼんやりわかった。
女「もうじき鷲座に着くよ。」
66:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 19:44:11.20 ID:bOaug2Ec0
女「あの人のこと、何か覚えてない?」
女がずっと我慢していたように聞いた。
67:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 19:47:29.14 ID:bOaug2Ec0
女「なんだか苹果(りんご)の匂いがする。いま甘いもの食べたいなーって思ったからかな。」
女が不思議そうにあたりを見まわした。
68:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 19:50:01.73 ID:bOaug2Ec0
「あら、ここどこでしょう。まあ、きれいだわ。」
青年のうしろにもひとり、十二ばかりの眼の茶いろな可愛らしい女の子が、
69:この章に入ってからがまた長いんだよな・・・ ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 19:52:54.06 ID:bOaug2Ec0
「お父さんやきくよねえさんはまだいろいろお仕事があるのです。
けれどももうすぐあとからいらっしゃいます。
それよりも、おっかさんはどんなに永く待っていらっしゃったでしょう。
わたしの大事なタダシはいまどんな歌をうたっているだろう、
70:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:00:28.43 ID:bOaug2Ec0
「あなた方はどちらからいらっしゃったのですか。どうなすったのですか。」
さっきの燈台看守がやっと少しわかったように青年にたずねた。
青年はかすかにわらった。
71:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:05:35.93 ID:bOaug2Ec0
www.youtube.com
賛美歌320番 主よみもとに近づかん
72:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:12:24.80 ID:bOaug2Ec0
ジョバンニの切符(中)
73:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:17:59.03 ID:bOaug2Ec0
そしてあの姉弟はもうつかれてめいめいぐったり席によりかかって睡っていた。
さっきのあのはだしだった足にはいつか白い柔らかな靴をはいていたのだ。
ごとごとごとごと汽車はきらびやかな燐光の川の岸を進んだ。
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