67:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 19:47:29.14 ID:bOaug2Ec0
女「なんだか苹果(りんご)の匂いがする。いま甘いもの食べたいなーって思ったからかな。」
女が不思議そうにあたりを見まわした。
68:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 19:50:01.73 ID:bOaug2Ec0
「あら、ここどこでしょう。まあ、きれいだわ。」
青年のうしろにもひとり、十二ばかりの眼の茶いろな可愛らしい女の子が、
69:この章に入ってからがまた長いんだよな・・・ ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 19:52:54.06 ID:bOaug2Ec0
「お父さんやきくよねえさんはまだいろいろお仕事があるのです。
けれどももうすぐあとからいらっしゃいます。
それよりも、おっかさんはどんなに永く待っていらっしゃったでしょう。
わたしの大事なタダシはいまどんな歌をうたっているだろう、
70:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:00:28.43 ID:bOaug2Ec0
「あなた方はどちらからいらっしゃったのですか。どうなすったのですか。」
さっきの燈台看守がやっと少しわかったように青年にたずねた。
青年はかすかにわらった。
71:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:05:35.93 ID:bOaug2Ec0
www.youtube.com
賛美歌320番 主よみもとに近づかん
72:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:12:24.80 ID:bOaug2Ec0
ジョバンニの切符(中)
73:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:17:59.03 ID:bOaug2Ec0
そしてあの姉弟はもうつかれてめいめいぐったり席によりかかって睡っていた。
さっきのあのはだしだった足にはいつか白い柔らかな靴をはいていたのだ。
ごとごとごとごと汽車はきらびやかな燐光の川の岸を進んだ。
74:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:20:43.69 ID:bOaug2Ec0
「おや、どっから来たのですか。立派ですねえ。ここらではこんな苹果ができるのですか。」
青年はほんとうにびっくりしたらしく、燈台看守の両手にかかえられた一もりの苹果を、
眼を細くしたり首をまげたりしながら、われを忘れてながめていた。
75:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:23:12.99 ID:bOaug2Ec0
燈台看守はやっと両腕があいたのでこんどは自分で一つずつ睡っている姉弟の膝にそっと置いた。
「どうもありがとう。どこでできるのですか。こんな立派な苹果は。」
76:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:25:12.02 ID:bOaug2Ec0
「ありがとうおじさん。おや、かおるねえさんまだねてるねえ、ぼくおこしてやろう。
ねえさん。ごらん、りんごをもらったよ。おきてごらん。」
姉はわらって眼をさましまぶしそうに両手を眼にあててそれから苹果を見た。
77:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:27:59.36 ID:bOaug2Ec0
「まあ、あの鴉。」
女のとなりのかおると呼ばれた女の子が叫んだ。
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