762:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/23(日) 22:39:07.48 ID:tH/dTWjVo
僕と麻季は同時に立ち上がり競うようにして寝室に殺到した。
奈緒人はベビーベッドの柵を乗り越えて床に落下したのだった。一瞬これまでの麻季と
のいさかいを忘れ僕は心臓が止まる思いをした。でも奈緒人はそんな僕の心配には無頓着
763:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/23(日) 22:41:53.02 ID:tH/dTWjVo
奈緒人への愛情から麻季の浮気を許した僕だったけど、心底から麻季の改悛の情を信じ
られたわけではなかった。正直に言えば彼女の僕に対する愛情への疑いは残っていた。あ
のときの麻季の言葉を何度脳内で再生したかわからない。
764:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/23(日) 22:46:51.38 ID:tH/dTWjVo
こうして僕と麻季の最初の危機は何とか破滅を回避できたように思えた。
危機を回避したあと、僕たちは麻季が自分の浮気を告白する前の生活習慣に忠実に過ご
すようになった。
765:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/23(日) 22:50:29.90 ID:tH/dTWjVo
その日も僕は編集部で目の回るような多忙な日常を過ごしていた。印刷会社に入稿する
記事の締切日は近づいてきているのに原稿は手元にない。遅筆で有名な評論家の自宅に催
促に行こうとしていた僕は、自分のデスクで鳴り出した電話を取った。
766:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/23(日) 22:53:41.48 ID:tH/dTWjVo
鈴木さんだか太田さんだかの指定した時間は一時間後で、場所は編集部のすぐ近くの喫
茶店だった。幸か不幸か一時間後には何も予定は入っていない。
僕は首を傾げた。非常識な話しだし何が何だかわからないけど、とりあえず行って話し
767:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/23(日) 22:55:22.83 ID:tH/dTWjVo
名刺交換を済ませると僕は彼女にもらった名刺にちらりと目を落とした。
『財団法人首都圏フィルハーモニー管弦楽団 事務局広報渉外課 鈴木怜菜』
768:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/23(日) 22:57:20.85 ID:tH/dTWjVo
しばらく沈黙が続いた。こんな内容なら電話かメールで十分だろう。なぜ彼女はわざわ
ざ会って打ち合わせをしようと言ったのだろう。でも初対面の、しかもこちら側からお願
い事をしている身でそんなことを聞くわけにいかなかった。
769:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/23(日) 22:59:34.15 ID:tH/dTWjVo
「鈴木さん、どうしたの」
僕は驚いて彼女に声をかけた。周囲の客の視線が刺さるようだった。これでは別れ話を
持ちかけている浮気男と振られた女のカップルのようじゃないか。
770:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/23(日) 23:00:05.85 ID:tH/dTWjVo
今日は以上です
771:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/23(日) 23:03:41.97 ID:fqJxMQAgo
予想以上に絡んで拗れてるな
乙
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