過去ログ - 奉太郎「守りたいもの」
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42: ◆axh.jP1Twpjg[sage]
2012/09/12(水) 00:13:18.88 ID:e6yq5BrI0
支援


43: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/12(水) 23:18:45.48 ID:N0EcB9ms0
――――――――――――――――

 翌日、俺は疲れた足取りで部室の扉を横にスライドさせた。省エネをするまでもなく、エネルギーの不足を実感している。
 こんな必要に迫られた省エネは俺の望むところではないのだが……。

以下略



44: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/12(水) 23:20:09.82 ID:N0EcB9ms0
 帰りの時間はすぐにやってくる。伊原も千反田も親が迎えに来てくれるらしい。物騒な昨今、親としては心配なのだろう。そしてそれは俺にとってもありがたいことであった。理由について多くは語らないが。

 二人の他にも親が迎えに来る生徒は多い。バスや電車を使うほどでもない距離の生徒が大半で、俺と里志もそれに該当はする。

 伊原の親に乗っていかないかと打診されたが、どちらも首を横に振った。俺たちはこれから少々用事があるのだ。
以下略



45: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/12(水) 23:21:17.89 ID:N0EcB9ms0
 さすが長年の友人である。感動すら覚えた俺は短くうなずいた。

 携帯電話をポケットから取り出す。

「俺はこの携帯電話が事件と関係しているんじゃないかと思っている」
以下略



46: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/12(水) 23:22:10.32 ID:N0EcB9ms0
 犯罪をしてまで手に入れたいものは、それだけの価値があるからに違いない。そして連絡してこないのは、万一拾った相手がその価値に気付いてしまっていては困るから。
 たとえばそれが一見してわからない、暗号でカモフラージュされた宝のありかだったなら、一も二もなく連絡してくるだろう。犯人にとってリスクがないのだから。

 逆説的に、連絡がないということは、向こうは自らの顔や、それこそ声すら知られたくないに違いない。そしてその事実は、このケータイに隠されているものが、何らかのうしろめたさを伴うものだと示唆している。

以下略



47: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/12(水) 23:32:16.84 ID:N0EcB9ms0
 数千に届きそうなメールを読むのは実に骨が折れた。いまだに目の奥に重いものが残っている感覚すらある。
 何も収穫がないのは残念だったが、無駄足もまた重要な収穫と考えることにしよう。

 携帯電話など持たない俺にとって、携帯電話の操作は案外難しいものだった。これでは千反田を決して笑えない。
 とはいえ、日常的にパソコンを触っていたお蔭で、最終的にはなんとかなったのだが。
以下略



48: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/12(水) 23:46:39.54 ID:N0EcB9ms0
 里志に携帯電話を渡しながら、考えを整理しつつ呟く。思考は言葉に出して初めて実態を持つ。あえて言葉に出すべきこともある。

 それが里志を誘った理由だ。

 青になった。考えながら歩く俺の速度は随分と緩やかだ。里志は何も言わずに隣を歩いてくれている。時折流し目で微笑みながら。
以下略



49: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/12(水) 23:47:42.58 ID:N0EcB9ms0
 携帯電話が物的な重要証拠となるためには、二つの条件をクリアしなければいけない。

 一つ、携帯電話の中に重要な証拠が残されていること。
 二つ、それは誰しもがわかるような形で保存されていること。

以下略



50: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/12(水) 23:49:00.61 ID:N0EcB9ms0
 そうだ。そのとき携帯電話は俺の手の中にあった。

 A君はこう思ったに違いない。あの女子生徒が持っているはずだ、と。
 ブレザーを着ているのだから、学校の特定は容易だ。学校に電話をすれば、それほど時間がかかることなく持ち主のあぶり出しは可能だろう。そしてA君はそれを阻止したかった。なんとか内密に自らの手に戻したかった。

以下略



51: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/12(水) 23:50:04.48 ID:N0EcB9ms0
 だが、どうだろう。俺は頭を捻る。携帯に証拠が残る類の犯罪は、かなり限定される。突発的な殺人や強盗では、ありえない。
 それは常習的な、あるいは計画的な何かだと考えられる。それこそ麻薬売買であるとか、売春斡旋であるとかだ。

 かわいらしい部類ではカンニングと言う線もありうる。いや、彼がブレザーを着ていたことから考えると、彼は有名進学校の生徒である。
 俺たちには縁のない考えだけれど、それほどまでにテストの点数が欲しいのかもしれない。
以下略



52: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/12(水) 23:53:13.01 ID:N0EcB9ms0
「……」

 ない。
 いわゆる教科書だとかカンニングペーパーらしきものは見当たらない。

以下略



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