3: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:07:00.37 ID:La4hkDje0
える「はぁっ」
花が形になったので一息吐き、窓の方へ向かいます。
窓を開けると、爽やかな春の風が舞い込んできました。
4: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:07:32.39 ID:La4hkDje0
摩耶花さんは椅子に腰掛け、足をぶらぶらさせながら、しばらく花に見蕩れているようでした。
やがて、指先で花びらを突付きながら、いたずらっぽく笑ってこう言いました。
摩耶花「ま、いくら綺麗な花を飾っても、あの朴念仁には猫に小判よね」
5: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:07:59.72 ID:La4hkDje0
摩耶花「にしても、折木がねえ……。やっぱり信じらんない」
流石は摩耶花さん。もう落ち着きを取り戻した様子で、続けます。
摩耶花「これは天変地異の前触れに違いないわっ!」
6: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:08:41.39 ID:La4hkDje0
える「えぇっ!? どどどど、どうしてですかっ!?」
声が裏返ってしまいました。
でもでも、摩耶花さんが来てからは、ニヤニヤしたりしてませんでしたし、気取られるようなことはしてないはずですっ!
7: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:09:14.65 ID:La4hkDje0
える「……あの、摩耶花さん」
摩耶花「ん?」
える「どうして……、わかったんですか? わたし、そんなにわかりやすい性格してるでしょうか……」
8: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:09:53.83 ID:La4hkDje0
摩耶花「で? で? 何があったの? まさか折木の奴に告白されたとか!?
……いやそれはないか。あの省エネ主義者が進んで色恋沙汰に精を出すわけないもんね。
え? 何? じゃあちーちゃんの方から迫ったの!? きゃーーー!!」
あの……。
9: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:10:32.87 ID:La4hkDje0
わたしと摩耶花さんは、並んで椅子に腰掛けました。
える「昨日の放課後は、部室にはわたしと折木さんの二人だけでした。
わたしが来たときは、既に折木さんがいて、いつも通り折木さんは、椅子に座って本を読んでいました」
10: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:11:10.56 ID:La4hkDje0
える「そこからです。何だかいつもと調子が違ったのは。
そうです。折木さん、いつもはわたしの方を見ても、チラチラと視線を外すことが多いんですが、そのときは……」
摩耶花「?」
11: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:11:46.61 ID:La4hkDje0
こうして改めて思い返すと、顔から火が出そうです。多分今、わたしの顔は真っ赤でしょう。
える「その後は至って普通でした。そんなことがあったのに、わたしも折木さんも、何事もなかったかのように振舞いました。
帰り際、折木さんが言いました。そのときの会話だけは、何故だかよく憶えています。
『なあ、さっき花瓶が出てきただろ。あれに花でも活けたらどうだ?』
12: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:12:22.92 ID:La4hkDje0
摩耶花「ちーちゃんは、折木のことが好きなのね」
える「……」
……そう、なんでしょうか。いえ、そうなんでしょうね。
13: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:12:56.77 ID:La4hkDje0
える「おっ、お見苦じいところを、ひくっ、お見せしましたぁ」
摩耶花「ううん。ほら、涙拭いて」
そう言って、摩耶花さんは、ハンカチを差し出してくれました。
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