59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:48:00.19 ID:eSSveo1wo
戸惑っていると、こんな言葉が飛び込んできた。
「……マグルで混み合ってるわね。当然だけど……」
杏子は急いで後ろを振り返った。青い髪の美しい女性が、同じく青い髪の少女に話しかけていた。さやかだ。
60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:49:15.04 ID:eSSveo1wo
「うーん……オーケー」
さやかはカートをくるりと回して、柵をにらんだ。頑丈そうだった。
さやかは歩きはじめた。九番線と十番線に向かう乗客が、さやかをあっちへ、こっちへと押すので、さやかはますます早足になった。改札口に正面衝突しそうだ。
61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:51:22.60 ID:eSSveo1wo
先頭の二、三両はもう生徒でいっぱいだった。窓から身を乗り出して家族と話したり、席の取り合いでけんかをしたりしていた。
さやかは空いた席を探して、カートを押しながらホームを歩いた。
細かい三つ編みを縮らせた髪型の男の子の周りに小さな人垣ができていた。
62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:53:13.62 ID:eSSveo1wo
「あっちに空いてる席を見つけたんだえっと……あそこ!」
さやかは何も感じなかったようだが、まどかはそのコンパートメントから垂れ流される異様な空気を感じた。
「さやかちゃん……そこは……」
63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:54:17.86 ID:eSSveo1wo
沈黙がコンパートメントを支配していた。さやかはそわそわしだした。
「なんだよ、便所か?」
「違うわよ、あんたそれでも女の子?」
64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:56:24.10 ID:eSSveo1wo
「マグルと暮らすってどんなかんじなの」
「両親は死んだわ。魔法界で一人で暮らしていたわ」
「そうなの? ごめんね」さやかは本当にすまなそうな顔をした。
65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:57:44.30 ID:eSSveo1wo
「ところでその膝のねずみはなんだ?」
「私のペットだよ。スキャバーズって言うんだ。やたら長生きだけど寝てばっかでね……」
ねずみはさやかの膝の上で死んだようにグーグー眠り続けている。
66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:58:59.50 ID:eSSveo1wo
杏子は朝食がまだだったので、勢いよく立ち上がった。杏子は通路に出た。
孤児院では甘い物を買う金なんか持ったことがなかった。でも今はポケットの中で金貨や銀貨がじゃらじゃら鳴っている。
持ち切れないほどのポッキーが買える……でもポッキーは売ってなかった。
そのかわり、バーティー・ボッツの百味ビーンズだの、ドルーブルの風船ガムだの、蛙チョコレート、かぼちゃパイ、大鍋ケーキ、杖型甘草あめ、それにいままで杏子が一度も見たことがないような不思議な物がたくさんあった。
67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]
2012/09/30(日) 13:02:48.08 ID:eSSveo1wo
今日はここまで。
死んでも完結させると言いましたが、死後の都合がつかなくなってしまったので、そのときはごめんなさい。
68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/09/30(日) 13:35:42.92 ID:tKkUWN2DO
笑った
死後は無理だな、うん
何にしても乙
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