過去ログ - エルフ「……そ〜っ」 男「こらっ!」
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675:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:52:12.31 ID:RLjbm7yt0
男剣士「いや、そう決めつけるのは早いぜ。見ろよ」

そう言って彼が指を指したのは一見すると何もない獣道。

男弓使い「……何もないが?」
以下略



676:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:52:41.81 ID:RLjbm7yt0
行進を続ける事数時間。空は暗くなり、夜が訪れた。周りの安全を確認し、小さな火を熾し、一同は交代で仮眠を取っていた。
パチパチと燃える薪に目を移しながら、男は見張りの番についていた。周囲に意識を張りながらも、ジッと膝を抱え込み、何かを深く考え込んでいる様子だ。
そんな彼の元に一つの影が近づいていた。男に気づかれないようにそっと近づき、一気に距離を詰めてその背に抱きつく。

女隊長「お〜と〜こ! どうしたの、浮かない顔して。もしかして結構疲れが溜まってる?」
以下略



677:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:53:28.82 ID:RLjbm7yt0
女隊長「ん〜それは分かっているんだけどね。ちょっと、眠れなくて。それに、男を一人にしておくにはちょっと心配だったから来たんだ」

男「もう……また子供扱いして」

女隊長「ごめん、ごめん。嫌だった?」
以下略



678:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:54:13.62 ID:RLjbm7yt0
男「いいよ、もう。女隊長が僕のこと手のかかる子供って思ってるの知ってるし」

女隊長「う〜ん、どっちかと言えば手のかかる弟かな?」

男「対して変わらないじゃんか」
以下略



679:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:54:43.08 ID:RLjbm7yt0
胸の内に抱えていた不安を少しずつ曝けだす男。そんな彼に女隊長は優しく問いかける。

女隊長「急にどうしたの? もしかして昼間の件で怖くなっちゃった?」

男「ううん、別に怖くなったとかじゃないんだ。みんなと一緒に行動してもう結構な月日が経つよね。その間、みんながどれだけ強いかを直に見てきたんだ。だから、自分がどれだけ力が足りないかも知っている。
以下略



680:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:55:14.00 ID:RLjbm7yt0
男「もしかしたら僕はまだみんなと一緒に行動するほど力がないんじゃないかって思ったんだ。あの時の試験だってギリギリだったよね。本当は駄目だってどこかで思ってた。
 女隊長は合格だって言ってくれたけど……本当はって思っちゃって」

本当の実践を経験し、自分が努力して覚えてきた魔法が簡単に破られた事、そしてそれによって仲間を窮地に立たせてしまった事が余程ショックだったのだろう。日中男が浮かない顔をしていたのはそれが原因だった。
自分はまだ皆と共に戦える力はなく、情けで戦いに参加させてもらっているのではないだろうか? そんな考えばかりが浮かんでしまっていたのだ。
以下略



681:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:55:44.64 ID:RLjbm7yt0
再び訪れる沈黙。すれ違うそれぞれの意見。少し口を出しすぎたと男が後悔をし始めた頃、今度は女隊長が話を始めた。

女隊長「私ね、弟がいたんだ」

男「えっ?」
以下略



682:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:56:14.31 ID:RLjbm7yt0
女隊長の話を聞いて男は自分に似ていると感じた。そして、今彼女の隣にその弟の姿がないことからも、この先に待ち受けている結末にも勘づいてしまった。

女隊長「でもね、子供がいつまでも逃げられるわけもなくてね、私と弟は途中でエルフに捕まったんだ。
 それまで、私はずっと弟の手を繋いでた。どこに行くのにも、なにをする時も。私がお姉ちゃんなんだから弟を守ってあげなきゃって思ってたんだ。
 だけど、いざ死を目の前にした時に私は怖くなったんだ。死にたくない、死にたくないって思った。そして、繋いでたその手を……離しちゃったんだ」
以下略



683:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:56:47.67 ID:RLjbm7yt0
それを聞いて、男はハッとした以前軍部の前に座り込んでいた自分の心情を言い当てた女隊長に理由を尋ねたことがあった。あの時は内緒とはぐらかされていた。だが、そうではなかったのだ。
彼女は自分だったのだ。だからこそあの時の自分の心情が手に取るように分かったのだと男は思った。

女隊長「それからは頑張って軍に入れるまでの間自分にできることをやって、こうして今軍に所属している。今の私にはもったいないくらいの仲間にも恵まれた。もちろん、男もね。
 強くなくたっていいんだよ、一人でできることなんて限られているんだから。だからこそ、仲間がいるんだしね。男は今できることを頑張るだけでいいんだよ。もしそれで失敗しても、私たちが助けてあげるから。それが、仲間でしょ?」
以下略



684:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:57:16.34 ID:RLjbm7yt0
女隊長「あ、でも私男に一つ謝らないといけない事があるんだ」

男「なに?」

女隊長「実は私ね、男のこと何度か弟と重ねてた。特に、隊に入った当初は。今の男の歳が近いって言うのもあったからなおさら、ね。だから無意識のうちに子供扱いしちゃったりしたりもしたと思う。
以下略



685:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:57:51.78 ID:RLjbm7yt0
女隊長「うっわぁ……男って本当に母性本能をくすぐるね」

うずうずと身を震わせる女隊長を見て男は不思議に思う。別段変な事を言ったつもりはなかったのだが、何か気を悪くさせただろうかと心配になる。
それから女隊長は唐突に立ち上がり、周りを見渡し、起きているものが誰もいない事をいないことを確認すると、再びしゃがみ込み、先程よりも更に男との距離を縮める。

以下略



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