過去ログ - 「俺は愛を餌に生きてィる」
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59: ◆QkRJTXcpFI[saga]
2012/11/30(金) 20:56:12.00 ID:nlsr789Z0
世界一面に花が咲き乱れ、暖かい風が花を躍らせる。
一緒に乗って流れてきたのは"蜃気楼"がいつか少年に聞かせたあの歌。

山は桜で桃色となり、海の植物プランクトンが発光を始めた。
暖かさと甘さが溶け合った軽やかな大地に陽気な音楽が鳴り響く。
以下略



60: ◆QkRJTXcpFI[saga]
2012/11/30(金) 20:57:00.54 ID:nlsr789Z0
なにがなんだか解らないといった様子の女生徒は呆気にとられていた。
普通に少年の言葉を整理すれば、好きであることに対して謝っているように聞こえてしまう。

言い終えた少年は数秒の時を経て、ようやく言葉が脳内でリピートされた。

以下略



61: ◆QkRJTXcpFI[saga]
2012/11/30(金) 20:59:04.49 ID:nlsr789Z0
少年「それもちがああうううう」

あまりに豊かな表情が目の前で展開されるものだからか、女生徒はくすくすと小さく笑った。
それが少年には逆効果で、乗っかっていた波が遠ざかってしまう。

以下略



62: ◆QkRJTXcpFI[saga]
2012/11/30(金) 20:59:50.55 ID:nlsr789Z0
少年「ひと月前、街で会った時、驚かせてしまってごめんさい。
   ずっと、ずっと謝りたかったけど、勇気がでなくて謝れませんでした。
   ほんとに、本当にごめんなさい!」

女「……うん、いいよ」
以下略



63: ◆QkRJTXcpFI[saga]
2012/11/30(金) 21:00:37.29 ID:nlsr789Z0
少年「だから、だから――僕とっ! 友達になってください!」

「……おィおィ少年、ここは交際を申し込む場面だぞ?
 友達って。まったく、君らしィな」

以下略



64: ◆QkRJTXcpFI[saga]
2012/11/30(金) 21:01:20.76 ID:nlsr789Z0
女生徒と友達になれた喜びも冷めやらぬまま、少年は走って階段を駆け上り、
屋上に続く扉の前で目を瞑る。

少年「やった! やったよシン! 女さんと友達になれた!」

以下略



65: ◆QkRJTXcpFI[saga]
2012/11/30(金) 21:01:58.77 ID:nlsr789Z0
少年「し、死ぬってなんだよ! どうしてそんな話になるんだよ!」

「仕方がなィだろう! 俺の餌は愛だ! 食べなければ存在は消えてしまう!
 それよりも少年、愛を食べてィィとィってィる意味が解ってィるのか!?
 俺が愛を食べたら君は――」
以下略



66: ◆QkRJTXcpFI[saga]
2012/11/30(金) 21:02:58.75 ID:nlsr789Z0
「解ってくれ。俺は君が大切なんだ。これが愛とィうものなのだろう。
 今まで愛を糧に生きてきたが、まさかこの俺がナニカを、
 ましてや餌を愛するなどとは思ってもみなかった。
 満足なんだよ、少年。これ以上なィ幸福だ。
 こんな素晴らしィ感情を芽生えさせてくれた君の愛を食べることなんて、俺にはできなィ」
以下略



67: ◆QkRJTXcpFI[saga]
2012/11/30(金) 21:04:01.59 ID:nlsr789Z0
少年が涙が流したと同時に"蜃気楼"が見上げる空も涙を流す。
ぽつりと"蜃気楼"に落ちた雫はほんのりと胸に染み入った。

「君の心は本当に豊かになった。君にも魅せてあげたィよ。
 綺麗で、壮大で、鮮やかで、明るくて……。
以下略



68: ◆QkRJTXcpFI[saga]
2012/11/30(金) 21:05:11.97 ID:nlsr789Z0
朗らかな狐の嫁入りが弾力のある小粒となり、降られれば桜や花に落ちて跳ねる。

「……どういう、ことだ?」

心理世界で"蜃気楼"は首を傾げた。
以下略



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