678:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 00:17:22.39 ID:6BXLE37f0
うりうりと、打ち止めの頭を撫でていた遠野母が、しゃがんだまま番外個体を見上げる。猫なで声はなりを潜めて、
「年頃なんやで、もうちょっと綺麗にせなアカンよ。あと掃除と針と、お料理も覚えること」
「はいはいはい。はーいはいはい」
679:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 00:19:54.88 ID:6BXLE37f0
昼食には、急きょ用意された鳥肉が振舞われた。近所の家から買い取った、絞めたての新鮮なもの。
いつものごはんもおいしいが、やはり若い体は動物性蛋白質を求めている。
土産という名の大荷物が積み上がった居間で、他愛無い、いつもどおり会話をしながら食べる。ゆっくりと味わった。
680:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 00:22:07.75 ID:6BXLE37f0
残った面々で、荷車に荷物を積む。一方通行がいれば一人でも運べるのだが、真昼間では目立ち過ぎる。
一方通行達は今日でこの村から去るので関係は無くなるが、
残される遠野家の人々に奇異の視線が集まるのはいただけない。
681:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 00:24:00.30 ID:6BXLE37f0
やがて、山の入り口に着く。少し登ったところで荷物を降ろし、それらは全て一方通行が担いだ。
「じゃ、先に運ンでおく」
「おぉ〜」
682:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 00:29:10.55 ID:6BXLE37f0
番外個体が言う以上にすぐのことだった。
山を登る一行を待ち、一方通行が石に腰かけていた。
荷物を泉の近くに置き、そのまま能力使用モードで下っていたのだ。彼は今日の早朝から、この山を行ったり来たりであった。
683:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 00:33:02.38 ID:6BXLE37f0
「うわ、なんだあの水」
「あんなの初めて見た……」
ゴボリ、ゴボリと湧き上がるような泉の中心に、遠野と坂本が声を上げる。
684:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 00:34:53.57 ID:6BXLE37f0
カッパも人も静かな中で、水音と一方通行が荷物を背負う音だけが聞こえる。
ぐずぐずしていると、いつまでもふんぎりがつかないことを、経験で知っていた。
「も、もう行くの?ってミサカはミサカは……」
685:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 00:38:55.39 ID:6BXLE37f0
「さよなら、ってミサカはミサカは涙を堪えて言ってみたり」
「うん、さようならミサカちゃん……。元気でね、私達の事忘れないでね」
「おねーさん、おじさんと仲良くね、ってミサカはミサカは忠告してみたり。キューちゃんも、あんまり邪魔しちゃだめだよ」
686:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 00:42:53.91 ID:6BXLE37f0
白い少年の口が動いた。その音は、過去にも発せられたことがある。
でも、こんなにそのままの意味を持って話されたのは初めてのことではないか。
左右に居た姉妹があんぐりと口を開け、番外個体に至っては目まで丸くなっている。
687:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 00:47:53.70 ID:6BXLE37f0
何故、かぁたんは学園都市に来たのだろう。
何故、自分達は昭和五十年の奈良県奥吉野に来たのだろう。
切ない別れが待っているのに。
688:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 00:51:02.88 ID:6BXLE37f0
次回へ続く
幼女に弱い一方さんだが、おばちゃんにも弱いと思うんだ
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