過去ログ - 木場真奈美「木場サンタ?」
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13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:17:26.94 ID:ciVG5wjy0
音を立てないよう慎重に階段を上って踊り場を折り返すと、予想通り開け放たれた両開きの大扉。さらにちらちら舞う雪が目に入った。
なおも上っていくと、次第に屋上の全容が明らかになり……私はひとまず安堵の息をつくことができた。
誰にも踏まれていないまっさらな雪の絨毯に、一人分の足跡と…… なにやら予想外のひづめのような跡。
足跡の主はこちらに背を向け、携帯電話を持ったその手を気合いの抜けた様子で垂れ下げていた。

「(デンマーク語)……。うぅー…… どうしたらいいんでしょうー……」

そこにいたのは、もこもことした紅白のサンタ服にしなやかな長い銀髪の映える、一人のサンタクロースと…… 
全長2メートル近い、もこもこしたトナカイ。
普通なら十分驚くに値する光景だろうが、鬼が出るか蛇が出るかと身構えていた私にとってはまぁまぁ見知ったありがたい面子であった。
ほっと胸をなで下ろしつつ屋上に足を踏み入れ、落ち込んだ様子の彼女に声を掛ける。

「こんばんは、イヴ」
「ふぇ……? き、木場さん……? う、うぅ……」
「なにやら怪しい話し声が聞こえたものでね。こんな所で何を――」

ふいと振り向いた彼女は目に涙を浮かべており、驚きを隠せない様子だった。
私もどうしたものかと考えを巡らせながら、ひとまずは状況を聞き出すことを試みる――

「うぁぁぁん!! 木場さぁぁぁぁん!!」
「なっ、ちょっと待て!落ち着け!飛びついてくるんじゃ――

――などと、悠長に考えていられるほど余裕のある状況では無かったようだ。
一瞬こちらを見て驚いたかと思えば、すぐさま涙に表情を歪め、すがるように走り寄ってくるイヴ。
突然のことにろくな対処もできず、そのままの勢いで飛びついてくるらしいイヴを避けるわけにも行かず。

「木場さぁぁぁぁん!!」
「ぐはぁっ!?」

哀れ私はイヴの猛烈なタックルにより、真っ白な雪の絨毯へと全力トライされる羽目になった。


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