過去ログ - 木場真奈美「木場サンタ?」
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 00:25:00.72 ID:ciVG5wjy0
別に戸締まりだの見回りだのは苦でも何でもないからいいのだが…… 事務員がアイドルに戸締まりなんて任せてしまって良いのだろうか。
色々つっこみたいところではあったけれども、このプロダクションはある意味、社員からアイドルまですべての人の適当さ――もとい、信頼関係で成り立ってるところもあるので、細かいことは頭の隅に追いやっておくことにする。

「――とまぁ、そんな感じでよろしくお願いします」
「了解だ。私も荷物をまとめて帰り支度をするから少し時間がかかるが、構わないね」
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 00:30:11.57 ID:ciVG5wjy0
          ※         ※         ※


「じゃあ見てくるかな。まだちひろさんは帰らないんだね?」
「ええ、しばらくいますからゆっくりで大丈夫ですよ」
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 00:35:35.15 ID:ciVG5wjy0
1階のロッカールームに荷物や脱いだ防寒着を一通り置いたのち、廊下、いくつかの事務室や給湯室、各設備などを見て回る。
2階3階と上がってきて、人の姿は見当たらず、各設備・部屋の鍵もしっかりとかかっていた――が、4階のレッスンルームの鍵が開いていた。

「む…… 誰かいるのか?」

以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 00:40:32.91 ID:ciVG5wjy0
さっきまで瞳子さんがいたというカフェテラスはレッスンルームのすぐ向かい側にある、張り出たベランダのようなスペースだ。普段はイスやテーブルがざっと並んでおり、アイドルたちの憩いの場となっている。
ただし今は、屋根の下に避難しきれなかったイスがきれいに雪化粧されるかたわら、大小様々の雪だるまがぽつぽつと並ぶ奇妙な空間になっていた。

「大きいのは昼間きらりちゃんやちびっこたちが作ったもので、小さいのはさっき私が作ったの。楓さんも一つ作っていったわね」
「……きらりたちはともかく、なんでこんな時間にそのメンバーで雪だるまなんか……」
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 00:45:23.03 ID:ciVG5wjy0
「それにしても、クリスマスの夜にこうして女ばかり集まってるのも何だかおかしな感じよね。賑やかだけど、どこかさみしいような……」
「ふむ……そうかな? アイドルをやってるっていう実感も沸くし、私は悪い気はしないがね」

なんて事はない雑談が続いた後、ふいに瞳子さんがため息混じりに言った。
確かに、クリスマスだというのに恋愛は御法度、夜遅くまで仕事やレッスン漬けというのは世間的に見れば寂しい部類の人種だろう。
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 00:51:34.37 ID:ciVG5wjy0
「……いいえ、大したことじゃないわ。ただちょっと、アイドルって聞いて夢みたいに思えて」

すぐに顔を上げて苦笑してみせる瞳子さんだが、どことなく不安げな雰囲気は拭えない。
夢。瞳子さんがよく口にする言葉だったが……
以前アイドルをやっていて一度は挫折したという彼女の過去を知っているだけに、彼女の言う“夢”の重みが、私にもいくらかは理解できた。
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 00:55:32.74 ID:ciVG5wjy0
テラスを離れ、そろそろ帰ると言う瞳子さんから鍵を受け取った。

「えっと、レッスンルームの鍵は預けちゃっていいのね?」
「あぁ大丈夫だ。この鍵束に返せばいいんだろう?」
「ちひろさんから借りた時にそこから出してたから、間違いないと思うわ」
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:00:42.81 ID:ciVG5wjy0
一応、私の感じたこっ恥ずかしさは無駄では無かったようで、頭に重くのしかかる考えごともひとまずは吹き飛ばせたようだ。
からかったりからかわれたりしつつ、別れの挨拶をして瞳子さんの背中を見送る。
と、階段を下りていく間際に、瞳子さんがふいと振り返った。

「……楓さん、今日の昼間はライブがあったんだって。ホワイトクリスマスをステージに大勢のファンに囲まれて、夢みたいだって、喜んでた」
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:06:10.04 ID:ciVG5wjy0
「私、まだまだ頑張る。頑張れるわ。プロデューサー君とも、二度と夢を無くしたりしないって誓ったもの」
「あぁ、その笑顔があれば、まだ見ぬファンもきっと君に振り向いてくれるよ」

私の言葉に笑顔でうなずくと、瞳子さんはばいばいと手を振り、はっきりとした足取りで階段を下りていく。
瞳子さんの足音が遠ざかりあたりが静まり返るまで、私はその場を動かなかった。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:10:12.48 ID:ciVG5wjy0
腕時計を見ればもう十時だ。
特に何も言ってはこないが、ちひろさんも待ちくたびれているに違いない。
あとは確認すべき部屋もほぼないので、急いで済ませて戻るべく、数部屋を見回り廊下を進み――

「次で最後……屋上か。滅多に人が入ることも無いところだが一応は見ておかないと…… ――ん?」
以下略



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