過去ログ - 老兵や古兵って響きからしてカッコいいよな! というわけでSS書く
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2013/02/10(日) 12:08:44.44 ID:Xs4uGvw2o
父は、祖父こそが最高の武人であると言う。
弥助は、父が嘘を言うのをただの一度も聞いたことがない。
つまり道理に従えば、祖父が言に違わず最強ということになるはずである。
はずである、というのは弥助がそれを信じきれずにいるためだった。
戦国の世の末期を過ごし、実際に何度も過酷な戦場に駆り出され、何人も斬り倒して生き延びてきたというのだから疑う余地はない。
ないのだが、どうしても、なんというか――
「爺様」
「……んー?」
ぷう。縁側に寝そべる老人が屁をこいた。
臭いが漂ってくるわけでもないが、弥助は思わず顔をしかめた。
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2013/02/10(日) 12:10:53.06 ID:Xs4uGvw2o
しなびた蜜柑。
弥助が祖父を見るにつけて思い出すのはそれである。
日光を浴びてしぼんだ小さな塊が縁側に転がっている。
それが最高の武人であると言われても、信じるのは難しい。
以下略
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2013/02/10(日) 12:11:30.06 ID:Xs4uGvw2o
祖父は小柄だ。割としゃんとしているけれど、それでも小さい。元服前の自分より背が低い。
その小男が戦場を走りまわっている図を思い浮かべるのは苦労する。
ましてや鬼のような立ちまわりを演じているところなど。
以下略
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2013/02/10(日) 12:58:29.15 ID:bgP9HrFx0
期待
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2013/02/10(日) 13:00:25.96 ID:dy/ovrDP0
期待大
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2013/02/10(日) 13:28:05.57 ID:Xs4uGvw2o
……
久々に道場に顔を出した祖父はしばらく稽古の様子を眺めると、一言二言父と言葉を交わした後に奥へと引っ込んだ。
「師範は本当に強いのだろうか」
以下略
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2013/02/10(日) 13:28:48.50 ID:Xs4uGvw2o
前に直接訊ねたことがある。爺様は本当に強いのかと。
「強い、とはなんだね?」
その時祖父は、逆に問い返してきたのだった。
なんだと言われても、と困ったのを覚えている。強いは強いだろうと。
以下略
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2013/02/10(日) 13:29:16.90 ID:Xs4uGvw2o
結局手合わせは流れた。
弥助は、少なくとも今の祖父は強くないと思っている。
父の言う最高の武人は、老いたのだ。
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2013/02/10(日) 13:54:41.61 ID:Xs4uGvw2o
……
「聞いたか、道場破りの噂」
稽古後、たわいもない話の最中だった。
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2013/02/10(日) 13:55:08.46 ID:Xs4uGvw2o
その話自体は知らぬ者は少ない。
丈夫が取り柄の半田長兵衛が生死の境をさまよったことについては、様々に噂が飛んでいる。
だが。
以下略
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2013/02/10(日) 13:55:36.98 ID:Xs4uGvw2o
弥助もその輪の中で笑っていた。
小太郎の話が本当だったことなど一度もない。
彼は驚くほどに正確に真相から遠ざかって見せる。
だから今回も外れるのだ。いつものように。
以下略
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2013/02/10(日) 13:56:20.25 ID:Xs4uGvw2o
(……何が遮ってるんだ?)
大きな壁と錯覚する。だが違う。それは――
「頼もう」
もう一度声がした。人。人間だ。
以下略
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2013/02/10(日) 14:43:05.25 ID:StcuUrRSO
老兵といえば剣客商売を思い出す
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2013/02/10(日) 16:29:31.95 ID:Xs4uGvw2o
……
大蝮と名乗った男は、師範代である目の前の父を歯牙にもかけない様子だった。
つまらなそうに道場を見回し、首を掻く。
以下略
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2013/02/10(日) 16:29:58.81 ID:Xs4uGvw2o
「へっ、なんだ。だったら話は早いな」
大蝮は腰に差した刀に片手を置く。
「別にお前を斬って進んでもいいんだぜ?」
以下略
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2013/02/10(日) 16:30:25.81 ID:Xs4uGvw2o
道場の静寂にぴしりと緊張が走る。
父は双方斬りこめる間合いのすぐ鼻先で止まった。
そのまま動かない。動く必要もない。
以下略
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2013/02/10(日) 16:30:53.40 ID:Xs4uGvw2o
ざわりと嫌な感触が背中を伝った。
だが、勝負を止めようにも自分では無理だ。
焦りだけが頭を満たす。
その時だった。奥の戸ががらりと開いた。
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2013/02/10(日) 18:31:39.56 ID:R+i11ztgo
いいぞ
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2013/02/11(月) 09:45:24.59 ID:zd3Kw31so
……
奥の間からは、時折笑い声が洩れてきた。
一方の弥助はそれを面食らいながら聞いていた。
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2013/02/11(月) 09:45:59.36 ID:zd3Kw31so
……
それからはいつものように時間が過ぎた。
食事をとって、布団に入って。
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21
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2013/02/11(月) 09:57:24.22 ID:zd3Kw31so
それから一眠りはしたはずだった。
弥助は妙な気配に目を覚ました。
別にいつもそれほど感覚が鋭敏というわけではない。
以下略
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