994:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:58:35.35 ID:nQ4y3AGI0
陸上部の厳しい練習に毎日無欠席で参加し続けるのは当然のことで、学校が休みの日でさえも、早朝と夕暮れ時のランニングは欠かさなかった。そのおかげで、和歌子は今の俊足を手に入れた。
要するに、和歌子は努力に抜かりの無い女なのだ。そしてその性格は、プログラムに参加している今にも存分に役立っている。
龍輔の知るところではないが、春日千秋と磐田猛の二人から逃げ去った後、和歌子は先に殺害済みの徳川良規の遺体が転がっている場所へと戻り、そこでまだ回収前だった彼の武器、ボウガンを手に入れて、以後少しの間はその弓的練習に勤しんでいたのだ。
もちろん、いつ現れるか分からない敵に隙を見せてはならないため、それはほんの十回程度しか行われなかったが、その少しの差が、今、大きな違いとなってあらわれたのだ。
自分の武器を何度か試し、その性能をある程度把握できていた和歌子。敵と離れた状態での銃撃は、今回が初めての龍輔。その二人の狙いのどちらが正確なのかは考えるまでもない。
つまり、いくら和歌子のボウガンが、龍輔の武器とは違って連射がきかずとも、茂みに隠れながら素早く次の矢を装填できさえすれば、十二分に渡り合えることが出来る。そういうわけだ。
さらに和歌子には最大の武器、自ら磨き続けた足がある。彼女は、もはや生半可な実力者では倒せぬほどの俊足の殺人山姥へと成り果てていたのだ。
全ての要素を考慮すると、総合的に有利な立場に立っているのはもはや龍輔だとも言い切れない。ほんの少しの小さなミスを犯してしまえば、そこに付け込まれて致命的ダメージを負わされる可能性は高い。
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