過去ログ - 安価でシークレットゲーム5
1- 20
995:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 13:00:11.59 ID:nQ4y3AGI0
 茂みの中から飛び出してきたのは矢ではなかった。それはその辺の地面にいくらでも転がっているただの石ころ。茂みの中から和歌子が投げたそれを、龍輔は矢だと思い込んでしまっただけだったのだ。
 龍輔がそれに気付いたときには、時既に遅く、一瞬遅れて茂みの中から飛び出した矢が高速で迫ってきて、対処する暇すらない彼の手から拳銃を、神業とでも言うべき正確さではじき飛ばした。
 手から離れた拳銃は宙を舞う。
 龍輔はすぐさまそれを捕まえようと手を伸ばしたが、あと少しのところで届かず、最も信頼していたその武器は崖の下へと落下してしまった。
 あの深い森の中に落ちてしまったなら、探して見つけ出すのはほぼ不可能だろう。だが今はそんなことをしている余裕はない。
以下略



996:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 13:01:19.11 ID:nQ4y3AGI0
 右手のボウガンには、早くも次の矢も装填済みで、いつでも次の攻撃を仕掛けてきそうなその様子に、龍輔は悔しながら息を呑んでしまった。
「テメェ、ナメたマネしてくれるじゃねぇか! どうなるか分かってるんだろうな!」
 威勢良く吠える龍輔。しかし冷静なる和歌子は全く動じない。だが劣勢でありながらも態度を変えないその姿は気に入らなかったのか、少し眉をしかめて怪訝そうな顔をした。
「あんた、どうやら自分が置かれている状況を理解できていないようね」
 和歌子はボウガンを構えた。そして狙いを定めて矢を放つ。
以下略



997:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 13:02:14.67 ID:nQ4y3AGI0
 遥かなる広がりを見せる外の景色を見ていると、窓から身を乗り出せば、何処まででも飛んでいけそうな気がした。だけど、それは単なる気のせいに過ぎず、実際にはそうはいかない。
 今の私は、籠の中に放り込まれた鳥と同じ。柵の外に出たいと思っても、自力で飛び出すことは出来ない。この首に巻きついた忌々しき金属のリングのせいで。
 藤木亜美は、窓の外の景色を眺めながら、深いため息をついた。
 彼女は現在、ビルの周りを監視するという役割に就いている。猛曰く、ビル周辺に誰かが近づいてきたとしても、それにいち早く気づきさえすれば、なんとでも対策をとることが出来るとのこと。たしかに、近づいてきたのが敵だったとしても、その接近に早く気づけば、それだけ逃げるための準備時間を作ることも出来るだろう。だけど、いつまでもこうやって延命措置ともとれる行為を続けていたところで、状況が好転しはしない。
 三日という定められた制限時間は刻々と迫る。そう、私に残された時間はもう三日も残されていない。このまま島から出ることができなければ、まだたったの十五年しか続いていない短い人生に、もうじき幕が下ろされてしまうのだ。


998:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 13:02:58.14 ID:nQ4y3AGI0
 それだけは絶対に嫌だ。残されたほんの僅かな時間が尽きるまでに、絶対にこの島から抜け出す方法を見つけてやる。
 亜美は全ての脳神経を集中させて考えた。だけど、思考能力の乏しい彼女がいくら頭を捻ったところで、良い方法が思いつくわけが無い。当たり前だ。亜美程度の頭で良案が考え付くなら、過去五十年以上に渡る共和国戦闘実験の歴史の中、参加生徒のうち何人もが会場から脱出し、今や収拾がつかなくなっていることだろう。だが、実際はそんな前例など、かの有名な一九九七年の沖木島脱走事件くらいしか聞いたことが無い。
 一年に五十クラスが選出されるプログラム、その半世紀の歴史の中で、脱走の前例はたったの一つだけ。あまりにも低い確率だ。それだけ、プログラムからの脱出は難しいということだ。
 となると、やはり残された生存方法は、たった一つに絞られてしまう。それは、プログラムのルールに従い、他の生徒を踏みつけにしてでも、最後の一人になるまで生き残るということ。
 だが、まだ正気を保てていた亜美は、それだけは選んではならぬと自身に言い聞かせた。
以下略



999:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 13:04:11.46 ID:nQ4y3AGI0
 どんなに悲しいことが起ころうとも、皆を元気付けるために明るく努めてきた私だけど、級友達が死に続けていくなか、今後も笑顔でいることが出来るだろうか。答えは否だ。いくら皆を元気付けるためにと、明るく振る舞い続けてきた私であっても、もはや笑ってなんかいられない。それほどに、今回与えられた絶望は、あまりにも強大なものだった。
 憎々しかった。失われた幸福を我が手中に取り戻すために、悲しみに満ちた過去に背を向けて走り出していた生徒達に、まるであざ笑うかのように降りかかってきた災いが。
 気がつけば、亜美の目元からあふれ出した涙が、光り輝く筋を描いていた。
 もはや、私がいくら頑張って明るく振る舞ったとしても、皆に元気を与えることはできない。それが何よりも悲しかった。
 だがいつまでも泣いてはいられなかった。亜美はブレザーの裾で目元を拭い、流した涙の痕跡を急いで消した。背後に誰かが立っている気配を感じたからだ。
以下略



1000:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/03/10(日) 13:04:19.98 ID:Meu6wghvo
>>1000なら次こそGONZO大活躍!


1001:1001
Over 1000 Thread
     ,.ィ'",ィ    `' 、                 
 .  /_ / __,,,     ',                 
   //..、 ̄.,、、ゝ     .',                 
   i.F‐'゙  `'ー‐',.     l      
   !|       `‐、  ,.、 ',        
以下略



1002:最近建ったスレッドのご案内★
Powered By VIP Service
Buy viagra online @ 2013/03/10(日) 12:47:47.51 ID:L5b6N+ha0
  ex14.vip2ch.com

TddgDZSgGIWxmtj @ 2013/03/10(日) 12:40:22.62 ID:fsubcYHT0
  ex14.vip2ch.com
以下略



1002Res/793.48 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice