119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:26:06.16 ID:7LnCOhGJ0
今日の流行はボーカルだった。
以前の雪歩なら、擦れるような声量しか持っていないために逆風となっていたかも知れない。
しかし、やれるだけのトレーニングは行ってきたのだ。不安は無い。
返されたシューズを履いて靴紐を結び、雪歩は目を閉じて大きく深呼吸をした。
120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:27:12.04 ID:7LnCOhGJ0
出始めからターンが待っていたが、雪歩は難なくこなした。
テンポも速く歌いこなすのが難しい曲だが、しっかり子音を発音しメロディに乗せて歌えている。
滑舌だって、やよいと一緒に専属のコーチに習ってきたのだ。
当然のことだが、最後まで全力で歌って踊りきるだけの体力も十分につけている。
121:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:29:42.31 ID:7LnCOhGJ0
間奏に入った。
大サビを迎えればフィニッシュだ。
普段の練習以上の実力を本番で出す底力は、もはや雪歩の代名詞だ。
ステージが終わったら、考えられる限りの賞賛の言葉をあの子にあげよう。
122:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:32:05.55 ID:7LnCOhGJ0
「残念だったな」
オーディションを終え、冬馬がぶっきらぼうに雪歩に言った。
雪歩は、まだ椅子に座ったままうなだれている。
「この間、レベルが低いとか言って―――悪かった」
ボソッと付け加えた後、冬馬はツカツカと靴音を鳴らして会場を去った。
123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:33:27.46 ID:7LnCOhGJ0
「さぁ、帰ろう、雪歩」
プロデューサーが、努めて明るく雪歩に声をかけた。
雪歩は、まだその場を動けずにいた。
放心状態の雪歩を前に、真はかけるべき言葉が見つからなかった。
124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:36:07.35 ID:7LnCOhGJ0
「ミキ、知ってるよ。
プロデューサーから聞いてたもん、雪歩の頑張りっぷりを。
それに、いつまでも残念がっててもしょうがないし、また――」
「自分は途中で逃げたくせに、偉そうな事言うなよ!!」
125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/03/24(日) 01:38:31.10 ID:rBQP5l7uO
亜美も真美もイタズラはしても鉛筆のカス入れるなんてイジメじみたことしないだろ
126:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:39:05.26 ID:7LnCOhGJ0
「もうたくさんだ!!」
真は怒鳴った。
「今分かったよ、アイドルなんてどうせ美希みたいな子にできるようなことじゃないって!
こんな子のために、雪歩はどれだけ――!!」
127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:41:56.74 ID:7LnCOhGJ0
「家まで送っていかなくて良いのか?」
駐車場の外で、プロデューサーは真に聞いた。
「えぇ、大丈夫です。雪歩を家まで送ってあげて下さい。
ボクん家、雪歩の家とは方向が違いますし」
128:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:42:57.75 ID:7LnCOhGJ0
その後の事は、良く覚えていない。
しきりに他愛の無い話題で盛り上げ、プロデューサーが自分の気を逸らそうとしてくれていたのは何となく覚えている。
気づいた時には、雪歩は停車した車の中にいた。
おそらく、事務所の駐車場だろう。
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