109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:03:45.12 ID:7LnCOhGJ0
【6】
秋も深くなったある朝、貴音が自分のロッカーを開けると、見慣れない服があることに気がついた。
自分のものではないし、自分が入れた記憶も無い。
服を手に取り、まじまじと見ながら首を捻っていると、更衣室に誰かが入ってきた。
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2013/03/24(日) 01:06:09.30 ID:7LnCOhGJ0
「ほら、お姫ちんの隣のロッカーって、ミキミキのでしょ?」
真美は、貴音のそばにあるロッカーを指差した。
「ホントはこの服、ミキミキのロッカーに入れるつもりだったんだ。
でも、間違えて亜美がお姫ちんの所に入れちゃったみたいで」
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2013/03/24(日) 01:08:34.68 ID:7LnCOhGJ0
「美希に対する貴女方の厚意を、私は邪な眼で捉えてしまいました」
貴音は、もう一度深々と二人に頭を下げた。
「や、止めてよお姫ちん! 亜美達、そんなの全然気にしないって!」
「そうだよ! 元々悪い事してたのは真美達だもん!」
112:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:11:33.49 ID:7LnCOhGJ0
ジュピターとエントリーが被った事に気づいたのは、オーディション本番の三日前だった。
迂闊だったと、プロデューサーは自分のチェックの甘さを悔いた。
すぐにエントリーを取り下げようと受話器に手を伸ばした時、雪歩がプロデューサーに嘆願したのだ。
「プロデューサー―――大丈夫です、やらせて下さい」
113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:14:15.55 ID:7LnCOhGJ0
第二京浜を北上し、戸越から首都高速2号目黒線に乗る。
途中ある一ノ橋ジャンクションと浜崎橋ジャンクションで、銀座方面に向うよう都心環状線を渡れば、やがて汐留出口が見えてくる。
事務所から行けば、大体30分程度の道のりだ。
目本テレビへ向う車内で、真は雪歩の体調を気遣った。
114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:16:12.94 ID:7LnCOhGJ0
「あれから、美希ちゃんとは――?」
雪歩が、それとなくプロデューサーに聞いた。
プロデューサーが美希と連絡を取り合い、幾度か会っていることは、雪歩だけでなく事務所の皆も周知の事だった。
「ん? あぁ、美希な。相変わらずだよ」
115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:18:24.70 ID:7LnCOhGJ0
律子からのアドバイスもあり、目本テレビには時間に余裕を持って到着した。
大規模なオーディションだと、入場口も分からないほど会場となる建物が巨大だとのことである。
しかし、下調べを入念に行っていたこともあってか、会場には迷わずアッサリと着いた。
「フヅテレビの話を聞いてたから、ビビって先方の担当者に何度も確認しちゃったけど、来てみればなんてことは無かったな」
116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:20:48.85 ID:7LnCOhGJ0
「ごめんね。もっと早く来ようって思ってたけど、遅くなっちゃったの」
「ううん、私達も早く着きすぎちゃったの。まさか来てくれるなんて――!」
雪歩は、嬉しさのあまり興奮が抑えられずにいる。
「どうしてここが?」
117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:23:01.77 ID:7LnCOhGJ0
外で一度通しで練習してから、会場の待合室に入った。
先ほど入った時とは打って変わって、大勢のアイドル達がオーディションの開始を待っていた。
真は、その光景を見ただけで身震いがしてきた。
「真クン、大丈夫?」
118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 01:24:55.39 ID:7LnCOhGJ0
「変なの」
「やっぱそう思うよな。あぁそう、ジュピターも文句言ってたぞ」
「えっ?」
ジュピターという言葉に、真と美希は敏感に反応した。
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