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2013/03/23(土) 23:19:23.35 ID:sFFUNv8Z0
「う、嘘だよね?」
雪歩は思わず少し大きな声で聞き返した。
「ううん、本当だよ?」
美希は平然と返した。
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2013/03/23(土) 23:22:12.10 ID:sFFUNv8Z0
「わ、私も律子さんも、わがまま言ってるかもだよね、ごめんね。
でも、今までは楽しかったから、美希ちゃんもアイドル続けてきたんじゃ――」
「もう楽しくないから辞めるの。何か文句あるの?」
美希は雪歩と目を合わそうともせず、携帯を取り出して何やらカチカチと弄っている。
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2013/03/23(土) 23:24:14.48 ID:sFFUNv8Z0
「もういい―――もう止めて」
か細い雪歩の声が聞こえて、美希は顔を上げた。
雪歩の目からは、堪えきれなかった大粒の涙が溢れ出ていた。
「無理にアイドルやらせて、辛い思いをさせちゃったのなら、謝る。
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2013/03/23(土) 23:26:11.93 ID:sFFUNv8Z0
「そうか―――ありがとう、辛い思いをさせたな」
すまない、と言いながら、プロデューサーは雪歩に頭を下げた。
雪歩は、俯きながら首を振った。
「本気――なんだろうな、きっと」
77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 23:28:01.63 ID:sFFUNv8Z0
「千早。言いたいことがあるならハッキリ言いなさいよ」
少し語気を強めて、伊織が千早の本音を引き出そうとした。
おそらく、千早が次に何を言いたかったのかを彼女は確信している。
その雰囲気を感じ取った千早が、伊織に対し不快感を露にした。
78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 23:29:58.40 ID:sFFUNv8Z0
「ちょ、ちょっと皆落ち着いて!
プロデューサーさん、律子さん、皆を止めて下さい!」
見る見るうちに殺気立った事務所内の空気に恐怖し、小鳥が二人に助けを求めた。
「お、おい、止めろって――」
79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 23:31:56.58 ID:sFFUNv8Z0
「お、おい律子――?」
律子は、静かに亜美達の方へと歩み寄った。
彼女の様子に異変を感じ取ったプロデューサーが咄嗟に声をかけたが、立ち止まらなかった。
「り、律っちゃん――」
80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 23:34:02.11 ID:sFFUNv8Z0
「キミ達、その辺で止めてもらえないだろうか」
小鳥が、ようやく高木を連れて戻ってきた。
「美希君の事は確かに残念であるし、我々大人達が美希君を特別扱いすることでキミ達を苦しめてしまったことは事実だ。
本当に、すまなかったと思っている」
81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 23:36:00.85 ID:sFFUNv8Z0
その夜、雪歩は荒川沿いを一心不乱に走った。
普段は父に夜間からの外出を禁じられているため、ランニングも毎朝にしか認められていない。
だが、今日ばかりはどうしても耐え切れなかった。
世話役の男にお願いし、こっそり裏口から家を出て、いつものランニングコースに向かった。
82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 23:36:56.33 ID:sFFUNv8Z0
ひとしきり泣いた後、雪歩は起き上がった。
愛用の白いTシャツが、芝の泥で汚れてしまっている。
このままでは、両親に無断で外出してしまったことがバレてしまう。
このシャツは、自分でこっそり洗濯することにしよう。
83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 23:38:14.24 ID:sFFUNv8Z0
「貴音と、ケンカしちゃったんだ」
何があったのかを雪歩が聞くと、響は少しバツの悪そうに答えた。
「ケンカ、って言っても、自分が一方的に貴音にひどい事言っちゃっただけなんだけどさ」
あはは、と響は力無く笑った。
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