過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
1- 20
375:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/09(日) 13:06:38.03 ID:9vilZsgzo



376:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/10(月) 05:53:50.53 ID:eaBLS+OVo



 ずっとその場で立ち尽くしていたって、しかたがない。
 わたしは重い体をどうにか動かして、井戸に近付いた。
以下略



377:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/10(月) 05:54:16.79 ID:eaBLS+OVo

 頭が痛かった。どうしてこんなに痛むんだろう。
 何もかもが刺々しい気配を纏っていた。
 木々も雨粒も土も、すべてがすべて、視線のように無神経にまとわりつく。

以下略



378:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/10(月) 05:54:58.02 ID:eaBLS+OVo

 この井戸を、降りてしまっていいのだろうか。

 この先に何があるのか、わたしは知っている。
 何がないのかも、わたしは知っている。
以下略



379:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/10(月) 05:55:28.23 ID:eaBLS+OVo

 あと少しで井戸の底に辿り着けるというときに、手のひらが滑ってバランスを崩し、足が滑った。
 
 まずいと思ったときには遅かった。わたしは重力に従って、水溜りの中に落下した。

以下略



380:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/10(月) 05:56:47.62 ID:eaBLS+OVo

 濡れるのも厭わず膝をついて探したけれど、見つけるまで結構な時間が掛かった。
 泥に手が汚れる。頭が痛くて、何も考えられない。 

 でも、たまらなく不安になった。
以下略



381:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/10(月) 05:57:22.45 ID:eaBLS+OVo

 どちらにしても同じことだ。わたしは灯りを失ったのだ。
 そう思うと絶望的な気持ちが襲ってきた。わたしにはもうどうすることもできない。

 もう一度梯子を昇って、森の中を通って屋敷に帰れるだろうか。
以下略



382:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/10(月) 05:58:01.35 ID:eaBLS+OVo


 答えはない。当たり前だ。ツキはここにはいない。
 ここからじゃ、わたしの声はツキに届かない。

以下略



383:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/10(月) 06:00:02.85 ID:eaBLS+OVo

 ふたつ、手段が考えられる。
 
 まずは、手の痛みをこらえて、どうにか梯子を昇り、外に出る方法。
 掛かる時間は少ないが、あまり採りたい手段ではない。
以下略



384:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/10(月) 06:01:11.62 ID:eaBLS+OVo

 わたしは、暗闇を歩くことにした。
 時間の感覚が曖昧で思い出せないけど、来るときは相当な距離を歩いてきた気がする。
 足の筋肉だって、だいぶ疲れていた。

以下略



633Res/436.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice