過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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442:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:38:37.55 ID:DzmBzCz9o

 だとすれば、この拳銃はどのような意味を持つのだろう。
 
 わたしは一度、ツキにこれを向けかけた。そして今、もう一度引き出しから持ち出した。
 シラユキは息を呑む。それからひどく戸惑ったような顔をした。
以下略



443:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:39:31.42 ID:DzmBzCz9o

 どうして、と。
 シラユキの唇が、そういう形に動いた気がした。

「なに?」
以下略



444:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:40:14.34 ID:DzmBzCz9o

「ごめんなさい」

 放っておくと、シラユキが先に謝ってしまうような気がした。だからわたしが、最初に謝る。

以下略



445:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:40:40.91 ID:DzmBzCz9o



 母――義母にとってわたしは、夫の前妻の娘だった。 
 
以下略



446:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:41:13.84 ID:DzmBzCz9o

 父が再婚したのは、わたしが小学校に入ったくらいの頃。
 
 再婚に際して、ふたりは慎重だった。なるべくわたしに負担がかからないよう配慮していた。
 わたしは、子供ながらに、気遣われていることを、ちゃんと理解していた。
以下略



447:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:41:58.82 ID:DzmBzCz9o

 三人で顔を合わせることがあると、二人はいつもわたしに気を遣ったような表情になる。 
 わたしはそれがすごく嫌だった。でも、父も母もそれを望んでいた。

 母と会った日の夜、父はわたしに必ず、「どうだった?」と訊ねた。
以下略



448:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:42:43.86 ID:DzmBzCz9o

 父もきっと、母とわたしの間に、何か奇妙な雰囲気があることには気付いていただろう。
 
 でも、信じたくなかったのだろう。
 上手くやっていけていると、思って居たかったのだろう。
以下略



449:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:44:40.09 ID:DzmBzCz9o



 ツキと初めて会った時のことを、わたしは思い出した。
 わたしが走ることを拒否して、でも結局何も変えられず、ふたたび走り出した頃。
以下略



450:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:45:09.30 ID:DzmBzCz9o

 彼はそれからしばらく、何かどうでもいい話をした。
 学校で起こったこと、家族と喧嘩したこと。そういうことを延々としゃべり続けた。
 ひょっとしたら日が暮れても続けるつもりなんじゃないかと思うほどだった。

以下略



451:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:45:44.51 ID:DzmBzCz9o

 ずっと雨が止まなければいい、と思った。

 そうすればわたしは走らずに済むかもしれない。
 グラウンドが使えないくらいに雨が降ってくれれば、わたしはもう走らずに済む。
以下略



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