452:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:46:19.34 ID:DzmBzCz9o
「走りたくない」
とわたしは言った。彼は困ったような顔をした。
本当に戸惑っていたようだった。どうしてそんなことを言うのか分からない、というふうに。
453:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:47:55.06 ID:DzmBzCz9o
クラスメイトたちは、わたしが走ることを期待している。
そしてわたしが走り出せば、みんながひそひそと笑うのだ。
先生に気付かれないように、でも、視線と言葉をひそかに交わして。
454:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:48:46.23 ID:DzmBzCz9o
◇
わたしは書斎机の上に拳銃を置いて、それを見つめた。
455:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/14(金) 06:49:46.61 ID:DzmBzCz9o
つづく
434-9 とにいかく → とにかく
456:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/14(金) 23:44:03.11 ID:rP56Srs3o
乙
457:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/15(土) 06:58:21.61 ID:x3h76RAXo
◇
丘の下の街並みは、実際に歩いてみると、見下ろしていたときよりも、ずっと大きく、広く思えた。
石畳の通りを歩きながら、雨の降り続く街を歩く。
458:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/15(土) 06:58:48.51 ID:x3h76RAXo
シラユキは黙り込んでいる。
わたしが街に向かうと言ってから、彼女の態度は明らかに変だった。
何か言いたいことがあるのに、それを言うことができないというような表情。
459:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/15(土) 06:59:17.17 ID:x3h76RAXo
背の高い石造りの建物が通りの両側を囲んでいた。
わたしはなんだか奇妙な気分になってくる。
わたしも、シラユキも傘をさして歩いていた。
460:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/15(土) 06:59:46.83 ID:x3h76RAXo
「……ねえ、シラユキ。わたしはずっと思っていたんだけど」
わたしは彼女の横顔をひそかに眺めながら、訊ねた。
シラユキの表情は透明で、雨の街の中で、静かに消えてしまいそうにすら見えた。
461:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/15(土) 07:01:27.29 ID:x3h76RAXo
それは、つまり、どういうことなのだろう。
よく分からない。でも、このままでは不可能、という言葉は、なんだかわたしを不安にさせた。
彼女の言葉が本当なら、わたしは一度出直すべきなのか。
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