過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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◆/op1LdelRE
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2013/06/30(日) 00:07:12.82 ID:ChvAzoBW0
「……」
「ふふ、じゃあお邪魔虫になっちゃうのも何だし、お姉ちゃんはここでさよならするね」
そして、そんな陽乃さんからのあからさまな挑発に対して、雪ノ下は無言だった。
言葉も無く、動きも無い。見えないけれど、きっと表情も。
以下略
273
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 00:16:34.54 ID:ChvAzoBW0
って、本当にこんな状況で立ち去るの? 散々自分の妹をボコっておいて? あなたマジで鬼ですか?
思わず立ち上がりかけたところで、しかしその動きを制するように、陽乃さんがこちらに視線を寄越してきた。
睨まれた訳でもないのに、思わず息を呑み、俺も動きを止めてしまう。
陽乃さんはやはり、俺に対してもにっこりと微笑んで見せる。
以下略
274
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 00:26:36.29 ID:ChvAzoBW0
「……」
「……とりあえず、座ったらどうだ?」
少しして気を取り直し、無言で立ち尽くしていた雪ノ下に声を掛ける。
口撃の矛先がこちらに向かってくることも想定していたけれど、さっきまでの怒気はどこへやら、黙ったまま大人しく席に腰を下ろす雪ノ下。
以下略
275
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 00:46:12.33 ID:ChvAzoBW0
「あー、その、何か飲むか?」
「……いいえ、必要ないわ」
「そうか、なら仕方ないな」
短いやり取り。
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276
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 00:52:43.97 ID:ChvAzoBW0
「それで、実際のところはどうなの?」
「実際のところって?」
「どうして姉さんと二人きりで会っていたのかと聞いてるのよ、言われなくても察しなさい。前後の文脈からこの程度のことすら類推できないなんて、それで本当に国語の成績が良いの?」
「前段だけで良いだろ、それ――まぁとにかく今日のことなら、小町をダシに使われて呼び出されたってだけだよ」
「呆れた。あなた本当にどうしようもないわね、それじゃ小町さんの名を騙られたら簡単に詐欺に遭うわよ」
以下略
277
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 00:59:38.89 ID:ChvAzoBW0
だけど、違う。
こんな感情が抜け落ちたような、気の抜けた炭酸のようなやつじゃないのだ、俺の知る雪ノ下雪乃という女は。
最後の台詞のようなあからさまな突っ込み所を見逃すなんて、普段のこいつならあり得ない。
いつもならきっと、それこそ嬉々として罵ってきたはずだ。見下げ果てたシスコンとか何とか。
その前の罵倒だって、今一つキレがなかったし。
以下略
278
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 01:07:29.79 ID:ChvAzoBW0
「……姉さんの、言う通りかもしれないわね」
「は? お前何言ってんの?」
「姉さんはいつだって、私より優れていた。奉仕部で関わってきた事柄も、それこそ姉さんならもっと綺麗に上手く解決できていたはずよ。あなたのことだって、きっと……」
「そんなの言い出したら切りが無いだろ。そもそも現実そうなってないんだから、そんな仮定なんて無意味だよ。奉仕部の部長はお前だし、事態の解決に尽力してきたのもお前だ。誰もそれを否定はできねぇよ」
「そうね、もう否定も変更もしようがないわ。でも、だからこそ考えてしまうのよ。もし私ではなく姉さんだったら――って」
以下略
279
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 01:16:03.24 ID:ChvAzoBW0
一体何度その高い壁に挑んで、そして何度跳ね返されてきたのか――今までの話から考えて、その回数はきっと数えるのも馬鹿らしいほどに多く。
そして同時に、越えられたことは、一度としてないのだろう。
だから今も、こんなに心揺らされてしまっているのか。
あり得ない前提に、しかしあり得た場合の未来を想像してしまって。
以下略
280
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 01:22:48.70 ID:ChvAzoBW0
だけど。いや、だからか?
今の俺に言えることはある。
他でもない、今ここにいる俺だけが言えることが。
陽乃さんの別れ際の言葉が脳裏を過ぎる。
以下略
281
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 01:32:12.57 ID:ChvAzoBW0
「なぁ、無意味な仮定かもしれないけど、それでも敢えて仮定したとしてさ」
「何よ、いきなり。言語中枢でも壊れたの?」
「壊れてねぇよ。さっきの話に突っ込みを入れたいだけだよ。でだ、もし俺が陽乃さんに先に会ってたとしたらって話だったけど、その時は事態は今よりややこしくなってたぞ、間違いなく」
「……変な気の回し方は止めて頂戴、不愉快だわ」
以下略
282
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/30(日) 01:41:32.43 ID:ChvAzoBW0
「お前相手に気なんざ回すか、それならコマでも回してた方がよっぽど捗るわ。じゃなくて純粋な推察だよ。だって俺は、あの人のことを信用なんてできなかっただろうからな、お前と違って」
「――どうして? 身内贔屓になるけれど、あの人のことを疑うような人間なんて滅多にいないわ」
「生憎こちとら普通じゃなくてな。何しろ猜疑心の塊だぞ、俺は。綺麗な人が綺麗な言葉を口にしてるとか、そんなの疑えって言ってるようなもんじゃねぇか。ならきっと、どんな言葉をかけられたって俺はその裏を読もうとしてただろうし、そんな俺をあの人は見逃しちゃくれないだろ、叩きのめされてトラウマを一つ増やしてぼっち街道まっしぐらだよ。引きこもりにクラスチェンジだってあり得る」
「自分の惨めな敗北を、どうしてそんなに誇らしげに語れるのよ……」
以下略
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