5: ◆m03zzdT6fs[sage saga]
2013/06/12(水) 03:22:49.66 ID:XCXUAY/Ho
 『……あいつが、立派なアイドルになれますように』 
  
  近所にある、小さな神社で、俺は五円玉を賽銭箱に放り投げ、柏手を打って呟く。恒例の儀式だ。 
  
  初めてアイドルが移籍した時に、気分が落ち込んで事務所に戻らず、散歩をしていた時に見つけた神社だった。 
  
  それから、アイドルが移籍するたびに、ここにきてはこうやって神頼みをしている。 
  
  この神頼みは、決して欠かすことはできない。アイドルの将来を祈る為でもあり、アイドルへの贖罪の為でもあった。 
  
 (仕事しに戻る……。あぁ、仕事はなかったんだった。仕方ない、道々にアイドルの卵でも探しながら、家に帰るか。次のオーディションの算段も立てないとな……) 
  
  ゆっくりとため息をついて、俺は事務所に帰るため、本堂に背を向けて石段へと歩きはじめる。と、ちょうどその時に、その石段を上ってくる人影が見えた。 
  
  こんな寂れた神社に人なんて、珍しい。俺はそんな罰当たりなことを考えながら、気にも留めず通り過ぎようとした。 
  
  その瞬間、脳裏に何かが走ったような気がした。これが第六感……、俗に言う”ティンと来た”という物だろう。 
  
  その直感に従うように、ゆっくりとその人影を見た。 
  
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