過去ログ - モバP「七人目の正直」
1- 20
58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/22(土) 17:09:58.11 ID:bWSWonUPo
おつ


59: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/06/23(日) 01:21:05.31 ID:VUQNs9y0o
(終わった、な)

 俺は心中で、そう独語した。目の前のちっぽけなオフィスの中には、もう何もない。デスクも、ロッカーも、簡易の更衣室も、何もない。全て引き払った。

 茄子さんが移籍してもうすぐ二週間になる。彼女の消息は聞かないが、きっと上手くやっているのだろう。便りがないのは元気な証とも言う。
以下略



60: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/06/23(日) 01:22:09.84 ID:VUQNs9y0o
『……ああ』

 そういえば、すっかり忘れていた。やる気がそがれていた後、すぐに事務所を畳む準備を始めたので、いつもの神社に参拝していない。

 思えば、あの神社が全ての始まりだった気がする。あんな寂れた神社で、こんなに惚れ込む女性と出会えるだなんて。
以下略



61: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/06/23(日) 01:22:36.06 ID:VUQNs9y0o
『……一年間、世話になりました。ありがとうございます』

 それは事務所への感謝。こんな未練の塊である自分を、いつも迎え入れてくれた。幾ら小さくても、幾ら薄汚れていても、幾ら薄暗くても、それは変わらない。

『……行くか』
以下略



62: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/06/23(日) 01:24:41.03 ID:VUQNs9y0o
『……相変わらず、誰もいないな』

 そこには、いつもと変わらないあの神社。誰が世話をしているのかわからない本堂と、その前に置かれた小さな賽銭箱。何の神様を祭っているのかさえ分からない、ちっぽけな神社だ。

 ただ、この神社は俺にとって思い出の場所であり、そして贖罪の場でもある。だから、最後の今日ぐらいは、奮発してもいいかな、と思い、財布を取り出す。
以下略



63: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/06/23(日) 01:25:15.91 ID:VUQNs9y0o
(茄子さんが、トップアイドルになれますように。あとは――彼女が幸せになれますように)

 そう、祈った。彼女は運がいい。実際、一緒にいたときは何度も、運のよいことがあった。失くしたと思っていた物もよく見つかったし、一度だけだが懸賞にも当たった。彼女が入れてくれるお茶は、しょっちゅう茶柱も立っていた。

 だが、そんなことなんかよりも、彼女と出会えたことが一番の幸運だ。人生で一番幸せだったと、言ってもいいのかもしれない。
以下略



64: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/06/23(日) 01:25:59.36 ID:VUQNs9y0o
 ふと、気が付いた。ゆっくりと、石段を登ってくる人影がある。

(珍しいな、こんな寂れた神社に。そういえば、あの日もそうだったな)

 少し、懐かしい気分になった。その人影はゆっくりと石段を登りきって、そして参道へと足を踏み入れる。
以下略



65: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/06/23(日) 01:26:53.39 ID:VUQNs9y0o
今回は以上です。次はたぶん長くなると思うので、日が空くかなーと思ったりします。
来週半ばには投下したいところですね。


66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/23(日) 01:32:19.40 ID:CQTP67xq0



67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/23(日) 01:37:19.45 ID:qo4Izzgn0
このモバP馬鹿だなぁ(←褒め言葉)寄り道なんて余計な真似するから……良いぞその調子


68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/23(日) 02:14:08.83 ID:HMvyJpjJo



154Res/119.74 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice