2:1[sage saga]
2013/06/23(日) 12:21:15.44 ID:ebCH2PLZ0
カタカタカタカタ
キーを打つ音が、閑散とした事務所内に反響する。
律子「…………ふぅー」
3:1[sage saga]
2013/06/23(日) 12:21:52.56 ID:ebCH2PLZ0
作業中もその鬱憤が知らず知らずのうちに溜まっていたのか、心のポケットを裏返すと、
出るわ出るわ、愚痴の嵐。 一度言うと歯止めが利かない。
律子「なんで私だけサービス残業しなきゃなんないのよおぉぉおお!!」
4:1[sage saga]
2013/06/23(日) 12:22:34.52 ID:ebCH2PLZ0
そう、今日は765プロプロデューサー、秋月律子の誕生日なのである。
正直今日は楽しみにしていたのだ。 何かプレゼントしてくれるかもしれない、
こじんまりながらも、パーティーなども催してくれるかもしれない。
皆が「おめでとう」と言ってくれるかもしれない。
5:1[sage saga]
2013/06/23(日) 12:24:41.51 ID:ebCH2PLZ0
律子「……ふぅ、落ち着いた。 …もう帰りましょ」
机の上を少し片付けて、急ぎ帰るための身支度をする。
まるで、この冷たく寂しい事務所から一刻も早く去りたいかのように。
6:1[sage saga]
2013/06/23(日) 12:25:28.26 ID:ebCH2PLZ0
律子「え……、あれは………?」
そこには、私を除いた全ての765プロのメンバーが揃っていた。 …流石に社長はご帰宅のようだ。
プロデューサーがアイドルたちに何か説明して、小鳥さんはホワイトボードになにか書き込んでいるようだ。
……目を凝らしても、流石にここからではホワイトボードの内容までは読む事は出来ない。
7:1[sage saga]
2013/06/23(日) 12:26:06.06 ID:ebCH2PLZ0
…私を除いたメンバー全員で和気藹々と話している姿を見ていたら、ふと気がついた。
何故あんなにも楽しげに話しているのに、私が中に居ないんだろう。
扉を開けて、中に入って、なに私だけ仲間外れにしてるんですかって、文句を言いに行けば良いのに。
何故か、今はこの扉がとてつもなく重く、固く閉ざされているように思えた。
8:1[sage saga]
2013/06/23(日) 12:28:38.45 ID:ebCH2PLZ0
律子「…………帰ろう……」
このままでは、ボロボロになるどころか、心を折られてしまうかもしれない。
そう思い、窓の向こうに見える楽しそうな情景から目を逸らし、階段へと足を運ぶ。
9:1[sage saga]
2013/06/23(日) 12:30:04.00 ID:ebCH2PLZ0
P「本当に今、律子が見えたんだな!?」
響「間違いないさー! 自分が律子の髪形を見間違えるわけ無いぞ!!」
真「それに、今この時間にここを通るって言ったら、律子以外あり得ませんよっ!!」
10:1[sage saga]
2013/06/23(日) 12:32:43.67 ID:ebCH2PLZ0
あずさ「けれど、その律子さんはどこに居るのかしら…?」
千早「むっ、居たわ、律子よ! 下に居るわ!」
千早がいち早くこちらに気付き、皆に下を見るよう促す。
11:1[sage saga]
2013/06/23(日) 12:33:26.40 ID:ebCH2PLZ0
真「あっ、逃げた!?」
響「逃がさないぞー!!」
春香「ていうか、なんで逃げるの!?」
12:1[sage saga]
2013/06/23(日) 12:35:08.79 ID:ebCH2PLZ0
律子「な、なんで追いかけてくるのよぉ……!!!」
半分涙目になりつつも、諦めずに降りたことが幸いしたのか、事務所から出ることに成功した。
だがここで油断は禁物。 後ろも振り向かず前へと走り出す。
なんとかアイドル達に進行方向を見られる事無く、建物の影に隠れることが出来た。
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