41: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:47:20.43 ID:bAq3pyUe0
「それでもいい。今はちょっと、声が聞きたいんだ」
「わたしもちょうど、あなたの声が聞きたかったの」
42: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:47:48.11 ID:bAq3pyUe0
そろそろ、今日も終わってしまうな。七夕か。
織姫と彦星。その二人が出会うんだっけか。
まどろみながら僕はそんな事を考えていた。
43: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:49:26.57 ID:bAq3pyUe0
『わたしたちは、付き合えない。大人じゃないもの』
『わたしは、あなたのこと、好きよ。でも、ダメよ』
44: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:50:09.33 ID:bAq3pyUe0
人の噂も七十五日という言葉があるが、その通りだ。
ようやく十月に差し掛かろうとしていた。
その頃には誰も都市伝説を語らなかった。
45: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:50:52.56 ID:bAq3pyUe0
生活習慣というのはそうそう変わらないものだと思っている。
故に日々通学路を歩く彼女が最終的にどこかに消えれば気になる。
三日くらいは「忙しそうだなあ」で済んだから、まあいいのだが。
46: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:51:27.32 ID:bAq3pyUe0
「そうなんだ」
彼女もまた母と同様に嘘をつくような性格ではないし、信じた。
なれば僕はそれ以上追求する余地はない。しても仕方がない。
47: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:51:54.98 ID:bAq3pyUe0
僕は学校で別れる事になったその日はすぐに家に帰ったのである。
もちろんだが、放課後に残って談笑する友達がいないからである。
校庭に出ればボールの代わりに僕が蹴られる可能性があるからだ。
48: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:52:29.78 ID:bAq3pyUe0
ようやくと言えばようやくだが話が動き出すのはここからである。
あの日以降から彼女はさり気なさを演出しつつ僕を避けるのである。
それを見て心が少し痛んだが、慣れているので気にはならなかった。
49: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:52:58.46 ID:bAq3pyUe0
「あんたさあ、やり返したっていいのよ。あたしが謝ってあげるから」
「いいんだ。きっと、僕は何かしたんだよ。わからないけど、何かを」
50: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:53:24.66 ID:bAq3pyUe0
さて、いくら「遊んでいただけです」と言ってもあざだらけな僕である。
三者面談の際にも僕が母を愛し母も僕を愛していることを知っている。
ということはあざの原因は同級生によるものだと先生も確信するのだ。
51: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:53:58.72 ID:bAq3pyUe0
だがそんな生活も巡り巡れば慣れてしまうのが人間なのである。
精神的痛みは彼女ので最大攻撃力を誇っていたので辛くはなかった。
暴力に関してもあれだけ筋肉が傷つけられれば超回復さえするのだ。
162Res/110.59 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。