1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/06(土) 18:11:20.07 ID:CbwnvkBEo
「ほんまに、たいぎいのお」
うちは、ボソリと呟いた。別に不満を訴えるつもりじゃのうて、ただ思いを少し漏らしただけじゃった。
じゃけど親父にはそう聞こえんかった様で、申し訳なさそうな表情を作り。
「悪いのぉ、ゆうとろおが。とにかくお前はアイドルをするって昨日約束したろ」
確かに約束はしたけども、だけどもあの時うちに選択肢は無かった。だって親父が、あんなに必死にお願いをしてくるんじゃもん。
断りようがなかろう。
うちは約束した、というよりも約束させられたという風に思っとった。
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2013/07/06(土) 18:13:50.59 ID:CbwnvkBEo
「ほら、ついたで」
「んー、ここか」
車から降りて、目の前の建物を眺める。
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2013/07/06(土) 18:14:44.16 ID:CbwnvkBEo
言動からして、ここの事務所の関係者じゃろう。
男は全体的に色素の薄い感じじゃった。この媚びた笑いはきっと、うちらにびびっとるせいじゃろう。
でもそれなしでも、いつも笑っていそうな雰囲気じゃった。
うちはこういう媚びた笑いを向けられるのが大嫌いなんじゃ。
なんかムカムカして、蹴飛ばしたくなる。
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2013/07/06(土) 18:15:21.13 ID:CbwnvkBEo
親父は帰り際に、「可愛いアイドルにして貰えよ」とゆうた。
厳つい顔した親父が妙な事を言いよる。一体親父は何を考えてうちをアイドルにさせようとしたんじゃろうか。
プロデューサーは親父の乗った車が見えなくなるまで、ヘラヘラと笑っていた。
けれど、見えなくなったのを確認するように「よし」と一言呟くと表情を変える。
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2013/07/06(土) 18:15:58.69 ID:CbwnvkBEo
「今度俺を蹴飛ばしたら、お仕置きだぞ」
「は、誰にもの言うとるんじゃ」
「俺が恐いのは君のお父さんだし。別に君は恐くないもん。てか、君は可愛いし」
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2013/07/06(土) 18:16:41.52 ID:CbwnvkBEo
まだ昼間じゃから人通りもあるのに、こいつはそんなもん気にしとらん。
すれ違う人々は、怪訝な表情をして見よる。なのに誰も助けようとはせん。
東京もんは冷たいのぉ。
「巴ちゃーん」
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2013/07/06(土) 18:17:16.57 ID:CbwnvkBEo
「巴、お前に携帯を渡すの忘れとったわ」
うちは車に近付いて、携帯を受け取った。
「なんでピンクなん?」
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2013/07/06(土) 18:17:47.18 ID:CbwnvkBEo
「じゃあの」
プロデューサーは直立不動のまま、うちに尋ねた。
「何で言わなかったの」
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2013/07/06(土) 18:18:17.35 ID:CbwnvkBEo
「プロデューサーさん、いつまで事務所の前で騒いでるんですか?」
突如後ろから現れた太い三つ編みをしたお姉さんが、プロデューサーの頭をガシッと掴んだ。
「ちひろさん、ごめんなさい許してくださいマジですいませんでした」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/06(土) 18:18:49.02 ID:CbwnvkBEo
「300」
「200」
「300」
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2013/07/06(土) 18:20:44.80 ID:CbwnvkBEo
********
事務所の中は、凄かった。
何だかとてもファンタジーな空間じゃった。
ファンタジーという言葉に違和感を感じさせないぐらいの、変な空間じゃった。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/06(土) 18:30:17.47 ID:CbwnvkBEo
「にょわー☆新しいアイドルにぃ!?可愛いィー!!ねぇねぇ!ハピハピすう?」
かなりの高身長の女がやたらハイテンションで、謎の言葉を使い話しかけて来よる。
なに言よるか全く分からん。
この娘は、うちの若い衆の誰よりも高いんじゃないかのう。
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2013/07/06(土) 18:31:07.27 ID:CbwnvkBEo
落ち込んだ様子の彼女に、プロデューサーは駆け寄る。何かボソボソと二人で喋りよる。
そしてプロデューサーが手を広げて「ハピハピすぅーっ!!」と叫ぶ。
彼女は嬉しそうにプロデューサーを抱きしめた。
プロデューサーは嬉しそうに逝った。
ああ、あれがハピハピかぁ。受けんで良かったわ。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/06(土) 18:32:02.54 ID:CbwnvkBEo
「ボクのことじゃあ。他に誰がおるんや?」
「ぷ……」
「プ?」
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2013/07/06(土) 18:47:30.66 ID:CbwnvkBEo
うちは最近、ある悩みを抱えとった。
何でアイドルをしとるんじゃろうか。それがうちの抱える深刻な悩みじゃ。
うちはこんな事はしとうない。
アイドルなんて、どう考えたってうちには向いとらん。
何で親父は、うちをアイドルにさせたんじゃろうか。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/06(土) 18:48:07.43 ID:CbwnvkBEo
今日のカメラマンは、凄く気持ち悪い。何だかうちを見る目が、嫌らしい気がするんじゃ。
先に撮った雫さんの時よりも、ハイテンションに見える。
こいつはロリコンという奴じゃろうか?
嫌悪感を顔に出さずに、何とか撮影を乗り越えた。
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/07/06(土) 18:48:34.62 ID:CbwnvkBEo
「巴ちゃん」
「ちゃんで呼ぶなって、言うとるじゃろうがっ」
隣で歩くプロデューサーに、文句を言う。
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/06(土) 18:49:07.72 ID:CbwnvkBEo
「でさあ、巴ちゃん」
「…あほ」
「巴ちゃんって、アイドルを楽しんでないの?」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/06(土) 18:49:38.42 ID:CbwnvkBEo
たいして中身のない会話をしているうちに、寮へと着いた。
寮はうちが最初に予想してたよりも、ずっと小綺麗な建物じゃった。
何でも、ちひろさんは商才が凄くて、事務所の資金はかなりあるらしい。
「じゃあの」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/07/06(土) 18:51:03.97 ID:CbwnvkBEo
この人は最初うちよりも年下じゃと思ったけど、一つ上のようじゃった。
最初の一件以来、幸子さんはうちが苦手のようじゃ。
なのに。
「…お、お疲れ様です」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/07/06(土) 19:06:52.03 ID:oaXIIdGP0
幸子パシリwww
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