過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)4
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707:ゆっくりと空っぽになる(お題:さよなら)  1/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/08(火) 02:29:26.68 ID:j/UhbHsu0

 星を散りばめられた群青色の空は相変わらずひどく澄んでいて、僕はそれを心から美しいと思った。この物寂しい田舎町
も、空の美しさだけは他の町に誇っていいと思う。ダイオキシンや排気ガスやらの空気汚染が少なくて、とても綺麗な空が
映し出されるこの街。だけれどそんな穏やかなで綺麗なこの街の人口は、ここ数年で着実に減り続けてしまっている。その
理由は専門家を持ってしても分かっていないが、七年前を境に、唐突に(まるで最初からそこに存在しなかったみたいに)
以下略



708:ゆっくりと空っぽになる(お題:さよなら)  2/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/08(火) 02:30:47.29 ID:j/UhbHsu0

 それでも、理不尽にこの世から消え去ってしまうかもと言う不安におびえながら、僕の生活は変わることなく続いている。
 毎日のように誰かが近くで消え去っていくのを眺めている中で、今日も僕は、この暗く澄んだ星空の様に、変わり映えも
ない日々を過ごしている。朝八時半に起きて隣町の工場に行き、延々と流れ続ける同じ形の発泡スチロールに同じ商品を入
れ続けて、仕事をしていると言う満足感を得て過している。こんな仕事を死ぬまでやり続けるのかと考えた時に、二十九歳
以下略



709:ゆっくりと空っぽになる(お題:さよなら)  3/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/08(火) 02:31:28.32 ID:j/UhbHsu0

 約二時間の残業も終わり、真っ直ぐ電車に乗って家へ向かう。時刻は既に十一時半を過ぎている。もう既に体中がクタク
タで、今すぐにでも眠ってしまいたくなる。ずっと立ちっぱなしで同じ動きをしているだけなのに、どうしてこんなに疲れ
るのだろう。単調な動きを繰り返す、却ってそれが精神的にも肉体的にもきついことだと言うのが、こういう仕事を始めて
から分かったことだ。もちろん、一般的に言えばそんなこと知らなくたって、むしろ知らない方が幸せに暮らせるような気
以下略



710:ゆっくりと空っぽになる(お題:さよなら)  4/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/08(火) 02:32:11.18 ID:j/UhbHsu0

 商店街でケーキを買った。いつもより奮発して高級な品を買ってしまった。別に今日は、特別な記念日でも何でもないの
だけれど、日常の中でこういう特別な喜びを作るのは、生活に楽しさを生み出すうえで欠かせないことだと、そんなポジテ
ィブな気持ちでケーキを買うことにしたのだった。
 アパートに帰りついて、今にも朽ち果てそうな雰囲気がある階段を上って、自室の扉の鍵を開ける。踏み潰された猫の鳴
以下略



711:ゆっくりと空っぽになる(お題:さよなら)  5/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/08(火) 02:33:10.75 ID:j/UhbHsu0

 この世から消えてしまったお姉ちゃんの抜け殻を発見したのは、今から二週間ほど前の事だった。
 週末の休みの日に、近くで一人暮らしをしているお姉ちゃんの為に、夕食を作ってあげようと僕は彼女の部屋に向かった
んだ。その時はもちろんお姉ちゃんが消えてしまっているだなんて夢にも思わなかったし、いつもの晴れやかな笑顔で、僕
の恋心に気づかないふりをしながら、お姉ちゃんは迎えてくれるだろうと、そう思っていた。けれど、そこにお姉ちゃんの
以下略



712:ゆっくりと空っぽになる(お題:さよなら)  6/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/08(火) 02:34:31.18 ID:j/UhbHsu0
 自宅へと運んでからまず最初にしたことと言えば、彼女の服を脱がせて(思えば成人になったお姉ちゃんの体を見るのな
んて初めてだった)、とりあえずお湯を染み込ませたタオルで体を拭いてあげる事だった。相変わらず母性を過分に含んだ
かのように胸は豊かで大きく、柔らかそうだった。黒々とした陰毛は、思っていたよりも濃く、子供の頃に一緒に入浴した
時とは違う、大人の肉体と言うのがそこにはあった。彼女はどちらかと言うと肉付きの良い肉体だけれど、そんな男受けし
そうなお姉ちゃんの体に、僕は欲情することは無かった。ネクロフィリアのように、屍姦をするなんてもってのほかだし、
以下略



713:ゆっくりと空っぽになる(お題:さよなら)  7/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/08(火) 02:35:25.44 ID:j/UhbHsu0

 毎日家から帰ってきて、冷蔵庫に仕舞われたお姉ちゃんを眺める。それは至福の時だった。唯一絶対の神が、僕だけの物
になる。この神々しい彼女の抜け殻が、お姉ちゃんに惚れていた糞虫どもの手に渡らなくて本当に良かった。発見したのが
僕で本当に良かった。いや、僕だったからこそ、お姉ちゃんは抜け殻を残してくれたのだろう。
 お姉ちゃんの抜け殻を冷蔵庫から出して、じっくりと眺める。その際に衣装がはだけてしまい、胸元や太ももが露わにな
以下略



714:ゆっくりと空っぽになる(お題:さよなら)  8/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/08(火) 02:36:17.36 ID:j/UhbHsu0

 お姉ちゃんと一緒に買って来たケーキを食べる。二人で冷蔵庫に入り(大人二人が入れるほどの業務用の冷蔵庫をカード
払いで買ったのだ)、一緒に食べる。もちろん彼女が食べられるわけじゃないから、彼女と一緒に食べている様を想像しな
がら、僕はお姉ちゃんの抜け殻と向き合って、一人で食べ続ける。異常だ。相変わらずお姉ちゃんの衣装はすぐはだけてし
まう。いやらしい胸が誘うように、僕の目に焼き付いてしまう。思わず目を背けて、その衣装の乱れを治そうと手を伸ばし
以下略



715:ゆっくりと空っぽになる(お題:さよなら)  9/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/08(火) 02:39:05.55 ID:j/UhbHsu0

 この愛おしく狂った日々が、すでに三週間ほど続いていた。お姉ちゃんの体は、中身は亡くなったものの、腐る気配はな
い。もしかして腐らないのだろうか。それでも一応用心のために、冷蔵庫に入れておいた方が良いだろう。
 この日も仕事から帰って、アパートに向かうと、自室の扉の前に知らない誰かが座っているのが見えた。どうしてこんな
ところにいるのだろうか。ひょっとして僕に用があるのだろうか。しかし、僕が考える限り、僕に用がありそうな人物など
以下略



716:ゆっくりと空っぽになる(お題:さよなら)  10/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/08(火) 02:42:05.64 ID:j/UhbHsu0
 僕は悪くなった気分を戻すために、冷蔵庫の扉を開けてお姉ちゃんをリビングへと移動させた。そうだ、僕らが愛し合っ
ているところを見せれば、そしてこの抜け殻が美樹なんて名前ではない他人だと分かれば、アイツも帰ってくれるだろう。
僕はそう思いついて、笑みが浮かぶのを止められなかった。早速、お姉ちゃんの服を脱がせて、お姉ちゃんのいやらしい体
を、全裸にした。柔らかくて豊満な胸も、固まった黒々とした陰毛も、全てが僕の前に曝け出されていた。僕は、自らも服
を脱ぎ始める。なんだか、興奮が抑えきれない。僕の陰茎なんてもうそそり立つぐらいに勃起してビクビクとしているし、
以下略



717:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/10/08(火) 02:43:54.17 ID:j/UhbHsu0
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