過去ログ - 白坂小梅「め、目を瞑ってみて…」
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2013/08/11(日) 23:30:01.40 ID:Co8jNwAFo
 師匠から聞いた話だ。 
  
  
  
 大学一回生の冬のことだった。 
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/11(日) 23:37:23.24 ID:Co8jNwAFo
 どれもはらわたを金属に変えられてしまったかのような底冷えのする感覚にとらわれたものばかりだ。 
 僕はその経験からなにかを得られているのだろうか。 
 それとも。 
  
 ――深淵を覗き込むとき、深淵もまた我々を覗き込んでいるのだ―― 
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/11(日) 23:42:26.77 ID:Co8jNwAFo
 そうこうしているうちに大勢の観客が帰っていったようだった。 
 さっさと貰うものを貰って帰ろうと、会場内の廊下を歩いていく。 
  
 「ぉ、お疲れ様……です」 
  
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/11(日) 23:45:53.66 ID:Co8jNwAFo
 単純にラッキーだと思った。 
 同い年くらいの子ならばもっと良かったのだが。 
 なんてことを考えながら向き直ると同時に、 
  
 「っ!?」 
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2013/08/11(日) 23:50:46.28 ID:Co8jNwAFo
 耳鳴りが収まった。 
 僕は肩で息をしながら背後を見遣った。 
  
 ……子供がいた。 
  
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/11(日) 23:53:43.36 ID:Co8jNwAFo
 ふと気付くと、さっきの子供は消え去っていた。 
 それから僕は給料を受け取った帰りに、ちらっとさっきのアイドルを見かけた。 
 アイドルの隣にはあの子供が立っていた。 
  
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/11(日) 23:58:55.62 ID:Co8jNwAFo
 バイトの帰りに、僕はオカルトの師匠の家へと寄っていた。 
  
 「こんにちは」 
  
 「よお」 
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2013/08/12(月) 00:02:42.80 ID:CyCLCfbOo
 僕はアイドルの隣にいた子供のことを説明した。 
  
 「子供?」 
  
 「はい」 
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/12(月) 00:06:28.24 ID:CyCLCfbOo
 「ふーん。あの子が怖いんですか」 
  
 「あぁ? 挑発してるつもりか」 
  
 「いいえ? ちょっと安心してるんです。師匠にも怖いものがあるんだって」 
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/12(月) 00:10:01.04 ID:CyCLCfbOo
 とんだ出費だったが、友人に協力してもらってかのアイドルのライブチケットを入手できた。 
 友人には「お前に小梅ちゃんの良さがわかるとはな! どっちかってーと涼ちゃん派だと思ってた」と言われたが、 
 まさかそのアイドルに幽霊が憑いてるからとは言えなかった。 
  
 そしてライブ当日。 
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/12(月) 00:12:46.46 ID:CyCLCfbOo
 師匠は観客席の両サイドにある狭い通路に入っていく。 
 『関係者以外立ち入り禁止』という注意もまるで意に介していない。 
 なんとか追いついた僕に師匠はなにかを投げてよこした。 
  
 「それ付けてろ」 
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