6: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/17(土) 01:27:59.11 ID:rlBAIpqg0
 少女「え、ぬいぐるみじゃないんですか?」 
  
 「違う! ボクは広域派遣第三隊十六支部の……いや、きみにいってもわからないか」 
  
 「ボクの名前はムム。とある星から派遣されてきた……ま、きみたちにわかりやすく言えば、宇宙人ってことかな」 
7: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/17(土) 01:28:29.21 ID:rlBAIpqg0
  
  機嫌を損ねるかと思いきや、案外ぬいぐるみは平気そうな顔をしていました。そもそもこのぬいぐるみ、張り付いたような笑顔を浮かべるばかりで、表情変化が全くないんですが。 
  
 ムム「いや、気持ちはわかるよ。いきなり殺し合いだとか言われて参加するはずもない。けど、賞品のことを聞いたら、ちょっとは考えてくれるんじゃないかな」 
  
8: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/17(土) 01:29:54.09 ID:rlBAIpqg0
  
  なんでも。なんでも、なんでも、か。 
  それは実に魅力的だと、私、思います。それが文字通り言葉通りの「なんでも」であるならば。 
  
 少女「本当に『なんでも』なんですか?」 
9: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/17(土) 01:30:29.54 ID:rlBAIpqg0
  
 ムム「わかった。じゃあ、早速きみに能力を与えよう」 
  
 少女「私はどんな能力になるんですか?」 
  
10: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/17(土) 01:31:13.92 ID:rlBAIpqg0
 ―――――――――――――――――――――――― 
  
 ムム「嘘、嘘か。嘘ね」 
  
 少女「恣意的に捻じ曲げられても困るので、付帯しておきます。『嘘を消す』の定義について」 
11: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/17(土) 01:32:17.28 ID:rlBAIpqg0
  
  九人。多いのか少ないのか、いまいち実感しにくい人数です。私のクラスが三十四人で、その四分の一……そう考えると案外多いような気がしましたが、何も全員私が殺さなければいけないわけでもないのでした。 
  最後の一人になればいいということは、畢竟、引きこもっていたほうが有利。でもきっとその考えには全員が思い至ります。すると誰も死なない……なんというジレンマでしょうか。 
  
 ムム「そこについては安心していいよ」 
12: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/17(土) 01:32:52.35 ID:rlBAIpqg0
  
 ムム「安心していいよ。きちんと約束は果たす。優勝者には、能力の授与と、願いをかなえる権利がちゃんと与えられる」 
  
 少女「有言実行してくださいね」 
  
13: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/17(土) 01:34:13.46 ID:rlBAIpqg0
  
 少女「で、私の能力……有言実行、ですか? これの効果って、」 
  
  めぎめぎめぎめぎごりごりがっしゃん 
  
14: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/17(土) 01:34:54.72 ID:rlBAIpqg0
  
 ??「こんばんは! あたしの名前は『猪突猛進』!」 
  
  やたらハイテンションな体操服は、頭がおかしいんじゃないかと思うほどの大声でわめき散らします。 
  その間に私は包丁やナイフと言った、とりあえずさくっと殺せそうなものを探しましたが、残念、見つかりませんでした。帰りにコンビニで買っておけばよかった。 
15: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/17(土) 01:35:26.70 ID:rlBAIpqg0
  
  頭の中で嫌な音が響きました。弔鐘が鳴っています。けど、だめです。こんなあっさりとやられたら、出落ちもいいところじゃないですか! 
  
  迫る絶対の暗闇の中、お父さんの名前を呼んでも、決して返事は帰ってきません。わかっています。お父さんは死んだのですから。 
  そして、会いに行くのはもうちょっと後でも、怒られやしないはず。 
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