31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/28(水) 22:34:12.59 ID:B8ORtTEd0
茄子さん新カードはよう
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 08:18:03.91 ID:y0qhPNBmo
おぉ、これは期待しよう
まつぜ
33: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/08/31(土) 21:12:46.58 ID:5XV/thQ7o
エレベーターを三階で降り、私は岡山での宿となる306号室を探します。細い通路の両側には、重厚感のある深い色合いの木製扉が並んでいました。
その造りがやっぱりお高そうなので「ビジネスホテルとは何ぞや」といった疑問を抱かずにはおれません。私はどうにもそういった偏見を拭い去ることはできなかったようです。
壁にはプレートが拵えられて行く先々を示します。私はそれを頼りに306号室へと辿り着きました。
カードキーを差し込み扉を抜けたワンルームの部屋にはベッドやテレビ、小洒落た観葉植物などが収められておりました。
34: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/08/31(土) 21:16:17.53 ID:5XV/thQ7o
ベッドの側にはサイドテーブルが備え付けられており、そこにはデジタル式の時計が置かれております。そろそろ十二時二十分になろうというところです。
私はつい先程の出来事を早々に忘れてしまいたかったのですが、そうそう上手くいく訳もありません。
せめてこれ以上の無様は晒すまい。人間というものは過去に学ぶ生き物なのです。
今度は空腹を満たすためにと、足早に部屋を後にしました。
35: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/08/31(土) 21:17:38.57 ID:5XV/thQ7o
ホテルを出ると駆け抜ける自動車のエンジン音や人々の話し声などが一斉に飛び込んでまいります。
私は何の気もなしに空を見上げました。お日様は中天高く。相も変わらず温かな日差しを降り注いでおります。
どこまで飛んでいけたのでしょう?
ふと思い出したものの、赤い風船はもう見つけられませんでした。
36: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/08/31(土) 21:20:34.27 ID:5XV/thQ7o
37: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/08/31(土) 21:23:09.45 ID:5XV/thQ7o
一番安いハンバーガーセットを頼み「ご馳走様でした。」と手を合わせた私は、来た道を辿ってホテルを目指します。
より正確に言えば、ホテルの側にあったあの雑貨店を目指しておりました。
怪しげな雰囲気などという言葉がありますが、この店ほどそれを体現したようなものは中々お目にかかれないのではないでしょうか。
ショーウィンドウには日本人形西洋人形から始まり、ハワイのお土産などで見るような木彫の人形に、今は懐かしい人面犬のフィギュア。おまけに人面魚育成ゲームソフトまでもが並んでおります。
38: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/08/31(土) 21:25:12.95 ID:5XV/thQ7o
宿泊するホテルの側に、ここまでアヤシイお店があるのも何かの思し召し。
そう、何とか気勢を奮い立たせて私は扉を開きました。
「カランコロン」と鐘の音が響く中、歩を進めてまいります。
外はあれだけ天気が良いにも関わらず、店内は冬の曇り空のように薄暗くありました。
39: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/08/31(土) 21:29:25.25 ID:5XV/thQ7o
壁には全国各地のペナントや外国のナンバープレートに絨毯のような毛織物、ショーウィンドウにもあったお面、優勝旗のようなものも貼り付けられてあります。
眼前の棚には、皿のない天秤や自由の女神の置物、罅割れたワイングラスに文字盤が左右反転した時計など、分類分別区別もなしに陳列されています。
奥を覗き込めば、レジカウンターと思しき所に老婆が一人、椅子に腰掛けているように見えました。
伸びるに任せた灰色の髪。黒い外套に、黒いトンガリ帽子。トドメとばかりにその手には杖までもが握られております。
40: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/08/31(土) 21:31:49.85 ID:5XV/thQ7o
先程は気づかなかったのですが、カウンターの上には赤子の頭くらいの水晶球が置かれております。
これはいよいよ魔女に違いない、と私は確信を強めずにはいられません。
食い入るように水晶球を見つめていたものですから、老婆は「これかい?」と、しゃがれ声を発しました。
41: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/08/31(土) 21:33:17.90 ID:5XV/thQ7o
「そもそも、占いなんてものは存在しなかった。昔々の世には、本物しかいなかった。」
「本物、ですか?」
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