過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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433: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/08(土) 17:46:22.83 ID:Y0Pycakzo

「食べないで取っておいてくれたお礼に、これ。」

彼が差し出してきたのは、彼女の小さな掌に収まるほどの手書きのメモだった。どこかの建物の住所と、部屋番号が書かれている。

以下略



434: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/08(土) 17:46:48.58 ID:Y0Pycakzo



「って、聞こえてるわけ、ないんだけどにゃー。」

以下略



435: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/08(土) 17:48:09.88 ID:Y0Pycakzo



その十数分後、土御門元春の予想通りというか、別に彼が何か画策したわけではないのだが、インデックスは不良の多く屯する裏道で迷っていた。
完全記憶能力を有する彼女が道に迷うことなど、そもそも行き先が不明瞭でもない限りはありえないことなのであるが、何故かこの街に来てからは珍しくない。この街には奇妙な力が蔓延していて―それこそAIM拡散力場であるとか―彼女の鋭敏な感覚はそういったものに惑わされているのかもしれないのだけれど、今はその原因を突き止めることよりも優先すべきことがあった。
以下略



436: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/08(土) 17:49:35.80 ID:Y0Pycakzo

「―インデックス?」

背中の方から聞こえたのは、知っている声だった。

以下略



437: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/08(土) 17:50:38.02 ID:Y0Pycakzo

「どうした?何か人に言いづらいことでもあるのか。」

普段だったなら彼はそれ以上問い詰めず、それでもインデックスを安全な場所まで送り届けてくれただろう。けれども幸か不幸かその瞬間、頑なに握られていた彼女の右手から、小さな紙切れのようなものが零れ落ちた。

以下略



438: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/08(土) 17:53:05.71 ID:Y0Pycakzo



「ぐんはは、最初から気付いていたの?あくせられーたが、そこにいること。」

以下略



439: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/08(土) 17:53:51.72 ID:Y0Pycakzo

「私が、このメモを誰から貰ったのか、訊かないんだね。」

インデックスを背に負って走る少年の背中に、ぽつりと呟く。

以下略



440: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/08(土) 17:55:12.22 ID:Y0Pycakzo



メモに書かれていた場所は、セキュリティのしっかりしたマンションであった。
鍵を持っている人間か、インターホンを使って招き入れられた人間にしか立ち入ることはできない。非常階段は外側から忍び込むことができるような場所にはなく、外廊下など、とにかく他にも外から入り込めるような構造物はない。打ち止めか、誰かしら妹達がいれば大分状況は違うのだが、色々と便利に使える能力を有するとはいえさすがに発電能力は持たない彼には侵入の難しい状況であった。
以下略



441: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/08(土) 17:56:56.16 ID:Y0Pycakzo

咄嗟に閉じた瞼を恐る恐る開けたインデックスは、ベランダと目的の部屋を隔てるガラス戸に、奇妙な気配を感じた。

「ぐんは、ここ、」

以下略



442: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/08(土) 17:58:38.23 ID:Y0Pycakzo

かしゃん、

硝子が澄んだ音を響かせて崩れた後に見えたものは、窓の外から見えていたものとまるで違っていた。

以下略



443: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/08(土) 18:00:21.74 ID:Y0Pycakzo

「インデックス、この部屋、」

何なんだ、と訊ねようとした少年の声はそれ以上続くことがなかった。彼女とこの部屋に来る前の約束を思い出したのであろう。

以下略



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