131: ◆lQzP0htYVdWl[saga]
2013/09/22(日) 22:07:52.24 ID:vLQeQ6KRo
「えっと…………」
困ったように頭を掻く先輩。
記憶を失った時の「竜華」先輩も、この仕草、よくしてたな。
「気付かなくて、ごめんな?ウチ、こういうの疎くて……」
「いえ……私が悪いんです……」
「……あのな?記憶が失っている間の記憶も、あんねん」
「…………?」
私の頭に手を置いて、静かに話し出す先輩。
腕に隠れて、その表情は読み取れない。
「記憶がない間、すごい不安やった。
親だって知らん人、誰も知らん人、自分の顔も、知らん人…
そんな中でな?知ってる人が出来て。
うん、怜と泉や。
知らん人ばっかりで怖かったけど、
二人がおると、安心してなぁ……
ホンマ、うれしかった。ありがとうな」
一気に吐き出して、一度、息をつく。
そうして、ゆっくり頭を撫でてくれた。
私の頬に涙が、一筋伝って、
それが、だんだん大きい流れになっていった。
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