過去ログ - オリジナル小説【現代ファンタジー】
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30:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:00:03.29 ID:FkLb1xlW0
メロを小脇に抱えているのに、アレックは速い。
しかし、その動きはあらかじめ決められていたように規則的だった。
まるで、マートをどこかへ誘導しているようでもあった。
「待ちなさい!」
「待てと言われて待つ馬鹿はいない!」
「なんかむかつく!」
アレックの誘導先は、人気のない港。
「いったい、どういうつもりよ?」
肩で息をしながらマートが尋ねる。
「いやぁ、アニメでこういうシーンがあってさー」
「は?」
なにを言ってるんだ、この男は。
そんな感情がマートの心によぎる。
「僕はね、君が主人公じゃないかって思ってるんだよ」
「冗談も休み休み言わないと、怒りますよ? さっさとメロを離してください」
「お姉ちゃん……」
マートの瞳は、強くアレックを睨みつける。
しかし、アレックも物怖じせずに演説を続ける。
「だって両親がいない。こんな可愛い妹がいる。特別な力を持っている。どうだい? これだけ証拠はそろっているよ」
「……とりあえず、一ついいですか?」
「なんだい?」
「アニメの見すぎです」
「僕もそう思う」
淡々と会話を繰り返す中でも、マートはメロ奪取の機会を窺っている。
「でもね、これから起こることも、アニメのような出来事なんだ。主人公じゃなければ生き残れない」
アレックが指をならすと同時に、屈強な男が二人、後ろからマートを押さえつける。
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