69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/29(火) 00:34:47.46 ID:vSPwT0kD0
千冬「遅い」
千冬「あまりに遅すぎる。開始五分前だぞ」
山田「どうしたんでしょう織斑くん、何かあったんでしょうか…………」
70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/29(火) 00:38:20.79 ID:vSPwT0kD0
千冬「授業中のうたた寝は程々にしましょう」
山田「すっ、すみませーん………」
箒(千冬さん、今ものすごく悪い顔してるな、後すごい大人気ない。本当に教師かどうか怪しい)
71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/29(火) 00:41:25.06 ID:vSPwT0kD0
千冬「一夏、もういけ……おっと、これは聞かなくてもいいな」
一夏「…………………………………」
千冬「アリーナの使用時間は限られている。専用機の方は………戦ってる間に何とかものにしろ」
72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/29(火) 00:43:24.73 ID:vSPwT0kD0
千冬の指示に従い、真耶がコンソールを操作し、Aピットの搬入口が鈍い音を立てロックが外れる。斜めに噛み合わせになっていた防御壁が、それを動かす重い駆動音を鳴らしながら、ゆっくりとその向こうに待つものを迎え入れた。
それは黒、ただ黒だった。他の一切を拒絶しているかのような漆黒のISが、その装甲を解放して、扱うべき者を待っていた。
「これが………?」
73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/29(火) 00:44:41.10 ID:vSPwT0kD0
真っ黒のそれ。無機質なそれは、誰かを待っているというよりも選んでいるように見えた。今この間は、まるでこの機体が自分を扱うに相応しいとする誰かを選んでいる間のようだった。
一夏は、それに呼ばれたかのようにゆっくりと歩み寄り、その漆黒の装甲に手を触れた。
そして、見つけた。選ぶべき誰かを
74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/29(火) 00:46:29.96 ID:vSPwT0kD0
一夏はそうするのが当たり前のように、しごく自然にこの黒いISに乗り込んだ。
一夏の体に合わせて装甲が閉じて、空気の抜ける音が連続的に響く。皮膜装甲(スキンバリアー)が全身に展開し、推進機(スラスター)が作動し始め、ハイパーセンサーが彼に合わせて瞬時に最適化していく。そして、包み込むように装甲が装着されていった。それはまるで、元から自分の身体の一部だったかのように、溶け込むようにISが彼に同化していく。だがそれは、一夏と何かを繋ぎとめる重要な鎖、絶対に逃がさまいとする鎖を着けられたようだった。
だが、理解出来た。
75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/29(火) 00:48:08.26 ID:vSPwT0kD0
全ての感覚が、視界を中心にクリアになっていき、全身に行き渡る。この機体に関する情報が頭の中と、目の前に表示される。性能、特性、現在の装備、センサー精度、レーダーレベル、アーマー残量、出力限界……etc。その情報の数々を全てが把握出来る。
SYSTEM IGNITION START
76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/29(火) 00:49:29.96 ID:vSPwT0kD0
「何か分かりましたか」
千冬が真耶の隣に立ち、低い声で聞いた。
77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/29(火) 00:50:46.23 ID:vSPwT0kD0
一夏はフィッティングの進行状況を示す数々の情報の中、自分の視界の右端にメールのようなものが表示されているのを見つけた。
「何故こんなものが?」
「設計者からのメッセージか何かでしょうか?」
78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/29(火) 00:51:55.37 ID:vSPwT0kD0
千冬と真耶は言葉を失った。意味が分からなかった。ハンプティー・ダンプティー、その場所、見えるもの、永遠に征くことが出来ない、お前がいるべき世界。まるで、一夏の全てを知っているようなメッセージ。これが何故ヴィンセントに入っていて、何故一夏に宛てられたメッセージなのか、誰もその意図の見当がつかなかった。
千冬は困惑した。ヴィンセントをこのまま一夏に使わせていいのか、それとも試合を中断してこの機体を徹底的に調べ上げるべきなのか悩んだ。一通り爆発物反応などは調べられたので、そこかしらの危険性が低い事は重々承知だ。
気がかりなのは、メッセージの送り主の考え。この機体を製造した者が送ったメッセージにしてはおかしく意味有りで、異常なまでの一夏への関心の高さがある。それとも、三年前知っているであろう第三者が、一夏へのファーストコンタクトとしているのか。もしそうならば、今更ISを差し向けてまで一夏に何をするつもりなのか。
考えがまとまらずに苦虫を噛み潰したような形相の千冬に、真耶が恐る恐る話しかける。
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