83: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2014/03/03(月) 18:14:04.74 ID:bH+Tcx6s0
不審者がいるとの通報を受けた警察は、市民の安全と平和の為に可能な限り迅速にその場へと駆けつけた。
しかし、その頃にはシンジ達も流石に周りからの白い目に気付いており、かつ通報を受けたという事実を小耳に挟んだ為、可能な限り迅速にその場から逃走した。
丁度その頃、ネルフの副司令である冬月は、電車でネルフへと出勤する為にその場を通りかかっていた。
84: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2014/03/03(月) 18:20:09.64 ID:bH+Tcx6s0
そんな事は露知らず、シンジ達四名は学校へと何とかたどり着いていた。
途中、アスカがシンジの為に甲斐甲斐しくポカリを頭からかけたり飲ませたりしていたので、炎天下の中で走り続けたにもかかわらず、着ぐるみを着ていたシンジもどうにか無事である。
その代償として、彼は頭からつま先までびしょびしょになっており、動く度に着ぐるみの中からちゃぽちゃぽと音をさせてはいたが。
85: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2014/03/03(月) 18:22:23.58 ID:bH+Tcx6s0
「あ……えっと。それでさ、碇」
「何、ケンスケ?」
「話を戻すけど、ゲンドウさんの事で少し相談があるんだよ。碇ならきっといい答えを出してくれると思うから」
86: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2014/03/03(月) 18:24:30.51 ID:bH+Tcx6s0
ゲンドウとケンスケの初めての出会いは山の中だった。
夏休みのとある日、カヲルとの都合が合わなかったケンスケは仕方なく一人でサバゲーをしていたのだが、そこでゲンドウを見つけたのだ。
ゲンドウはパジャマ姿で、湖のほとりで体育座りをしながら、水面を寂しそうにじっと眺めていた。
87: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2014/03/03(月) 18:31:55.58 ID:bH+Tcx6s0
そして、その日の夕方近く。
テントで野営する用意を整え終えたケンスケは、夕食のカレーを作るまでの間、余りに退屈だったのだろう。ふとゲンドウの事が気になった。
そこで軽い散歩がてら湖のほとりにまで行ってみると、驚いた事にゲンドウはまだそこにいた。
88: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2014/03/03(月) 18:34:18.76 ID:bH+Tcx6s0
テントへ戻ると、ケンスケとゲンドウは二人でカレーを作り、二人でカレーを食べ、二人で後片付けをした。
腹が満たされれば心も満たされる。
長い間、ずっと無言だったゲンドウも、夕食を食べ終えた頃にはぽつりぽつりと自分の事を喋り始めていた。
89: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2014/03/03(月) 18:35:55.30 ID:bH+Tcx6s0
本来なら、ゲンドウは今頃、月面のタブハベースへと視察に行くべく、スペースシャトルで月面軌道に乗っているはずだった。
しかし、彼はその大事な日に遅刻した。
その原因は寝坊だった。
90: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2014/03/03(月) 18:36:49.59 ID:bH+Tcx6s0
つづく
91:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/03/03(月) 18:54:02.66 ID:LCcLRsSko
深いな・・・・・
何が深いのかわからんけど
92: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2014/03/04(火) 18:19:17.02 ID:pV7V1bap0
とにもかくにもそういった事情によりネルフにも顔を出し辛くなったゲンドウは、安息の地を求めてさ迷う仔羊の如く、色々な所を歩き回った末にこの山へとたどり着いた。
きらきらと美しい輝きを放つ湖畔の静けさと、たまに聞こえてくる鳥たちの歌声とが彼の心に安らぎを与えたのだ。
しかし、幾分か心の傷が癒されたところで、水面に映る自分はパジャマ姿であり、おいてけぼりにされたという事実に一切変わりはない。
93: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2014/03/04(火) 18:21:10.21 ID:pV7V1bap0
それから二人は電話番号を交換し、その日はテントで一緒に寝た。
ケンスケは無論寝込みを襲うような真似はしなかったが、彼の心はどことなく満たされていた様な気がする。
それはカヲルと一緒に寝る時の様な、激しい満たされ方ではなかったが、ケンスケはそこに安らぎと安心感を見いだしたのかもしれない。
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