過去ログ - 「ボクはアスカ、二宮飛鳥」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:08:28.54 ID:YZI5cFkOo
書きためです。ちまちま投下していきます。

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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:09:28.78 ID:YZI5cFkOo
 ボクはアスカ、二宮飛鳥。使い古された言い回しを引用させてもらうと、どこにでもいる普通の女子中学生ってやつさ。趣味はヘアアレンジで、例えばエクステを付けてみたり、髪を染めてみたり……。
――髪型っていうのは人の第一印象を決める上で大きな要素になり得るとボクは思っていて、その髪型を定期的に変える事で色々な人間に変化してみたいという深層心理がボクの中にあったのだろう。
思えばボクは、自分という存在、あるいは自分の人生というものに何かしら退屈な感情を抱いていたのかもしれない。だから外見を弄って、生活に刺激を与えていた。
そんな事をしたってボクの退屈な人間像には何の効果もないし、ボク自身の人生に影響を及ぼすはずがないなんて事も、心のどこかでは理解していたんだけど。


3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:11:49.92 ID:YZI5cFkOo
 だから、アイドルにスカウトされた時は本当に驚いた。吃驚仰天、驚天動地てやつさ。
確かにボクはそこそこ容姿の整った風貌だと自負している。これは自慢ではなく、自分自身を客観的に評価した結果だけど。
――でも、ボクよりも可愛い女の子、美しい女性なんていうのはそれこそ五万といる訳で。
他になんら取り柄をもっている訳でもないボクがアイドルにスカウトされたのは運命の女神のちょっとした気まぐれとしか言いようがないね。


4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:16:18.13 ID:YZI5cFkOo
 アイドルというのはポップカルチャーだ。アイドル全盛期ともいえるこのご時世、世間の話題の中心には常にアイドルがある。

 やれ、あのグループがミリオンを達成したとか、あのプロダクションで新しいユニットが誕生しただとか……

 ちょっと街に出ればそんな会話が嫌って程に耳に飛び込んでくる。
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:17:55.63 ID:YZI5cFkOo
 ……けれど、そういったクラスメイトの女子たちと違って、ボク自身は其れほどアイドルというカルチャーに傾倒する事は無かった。

 自分自身がアイドルになって、世間からちやほやされたいって言うのなら理解出来なくもない。

 そういう自己顕示欲っていうのはだれもが当たり前のように持っているのだし、それが中学生なら尚更さ。
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:19:11.57 ID:YZI5cFkOo
 ……話を戻そう。ボクは突然アイドルにスカウトされた。

 青天の霹靂ってやつかな。

 あの日は午後から急に強い雨が降り出していて、朝に天気予報を見逃していたボクは帰宅をするのに難儀していた。
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:22:06.67 ID:YZI5cFkOo
 話がすぐに逸れてしまうのは、ボクの瑕疵かもしれないね。善処する。

 とりあえずボクはバスに乗って自宅の近くまで帰ることにした。

 学校にいても特にやる事は無かったし、もしかしたらこの雨がただの通り雨で、バスが到着する頃には晴れてる可能性だってあるからね。


8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:24:42.23 ID:YZI5cFkOo
 ――結論から言うと、ボクの見通しはあまりに楽観的すぎるものだったのだけれど。

 ボクの家からの最寄のバス停(とはいっても家までの距離はまだ大分残っているんだ)にバスが到着した時、雨はまだ本降りで、当然ながら空には雨雲が未だに色濃く残っていた。

 太陽光は雨雲に完全に遮られていて、まだ4時だというのにはやくも何処からか暗闇が現れ、辺り一面を横行闊歩していた。


9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:30:07.73 ID:YZI5cFkOo
 ボクはというと、バス停の待合室の中で一人、音楽を聞いていた。

 耳元のイヤホンから流れ出る騒がしい音が、一人バス停で黄昏ているという不安な気持ちを和らげてくれる。

 「雨の中、傘を差さずに踊る人間がいてもいい。自由とはそういうことだ」なんて格言もある訳だし、大雨の中で傘も差さずに帰るというのもクールで格好良いかな、なんてことも多少は考えたのだけれど、せっかくセットした髪型が崩れるのが嫌で、その案は敢無く脳内会議で否決された。


10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:33:10.94 ID:YZI5cFkOo
 ……雨があがらない。

 やがて音楽プレーヤーの充電も切れ、ボクは手持無沙汰でざあざあという雨の音を聞いているはめになった。

 時刻は5時になろうとしている。このバス停に着いたのが確か4時くらいだったから、もう小一時間はここで座っている事になる。
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:38:33.48 ID:YZI5cFkOo
 さらに30分くらいの時間が経った。

 雨はまだあがらない。むしろ雨音が強まった気すらする。

 周囲はすっかり暗くなっていて、さすがのボクも一向に良くならない天気に少し苛立ちを感じ始めていた。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:40:51.50 ID:YZI5cFkOo
 ボクがあまりにあっさりと車に乗り込む様子を見て、彼は一瞬とても驚いた表情をしていたが、すぐに元の表情に戻ると 「家はどの辺にあるんだ?」と言った。

 「……ここから車で10分位かかる場所。とりあえずこの先の大きな十字路を左折かな」 ボクが敬語も使わずそう言うと、彼は黙って頷いた。

 車内は静かになり、車の環境音だけが鳴り響いていた。


13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:45:28.98 ID:YZI5cFkOo
 「あのさ、自分で言うのも何だけど」 彼が突然語りだした。「こんな怪しい車によく乗り込んできたね。それも、なんの躊躇いもなく」

 「家に帰れなくて困っていたのは事実だったからね」 ボクは正面を向いたまま言った。

 雨の影響で道路はいつも以上に渋滞している。この調子だと、家に着くにはまだ時間がかかりそうだ。
以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:48:31.71 ID:YZI5cFkOo
 改めて彼の顔を眺めてみた。

 年齢は20中盤から後半といったところだろうか。30代って事はないだろう。

 営業車に乗ってスーツを着ているのだから、どこかの会社で営業の仕事をしているのかもしれない。
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:49:38.19 ID:YZI5cFkOo
あと半分くらいです
ちょっと抜けます。一時間くらいしたら再開します


16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/21(土) 21:50:46.25 ID:9XWeVFrR0
期待


17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/12/21(土) 21:51:40.93 ID:lrmjZoLy0
期待してる


18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage saga]
2013/12/21(土) 22:01:24.29 ID:3QTAMOcL0
期待
全裸で舞ってる


19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 22:45:13.57 ID:YZI5cFkOo
ありがとうございます。再開します


20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 22:46:18.74 ID:YZI5cFkOo
 「ああ、この辺で降ろしてもらって結構です。家、すぐそこなんで」

 15分程のドライブの末、ボクはようやく自宅の近くまでたどり着いた。

 彼は本当にただの善意の人だったらしい。
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 22:47:47.07 ID:YZI5cFkOo
 「あのさ、ちょっと待ってくれ」 その時だった。

 彼はボクを呼び止めると、スーツの内ポケットに入れていた名刺入れから名刺を一枚取り出し、慣れた手つきでボクに手渡した。

 「これはただの営業なんだけど」 彼は真剣な先程までとは違う真剣な目つきでボクを見つめながら話を切り出した。
以下略



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