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2013/12/21(土) 22:49:12.92 ID:YZI5cFkOo
× 彼は真剣な先程までとは違う真剣な
○ 彼は先程までとは違う真剣な
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2013/12/21(土) 22:50:35.20 ID:YZI5cFkOo
じゃあ、これで。
それだけ言ってから彼は営業用のバンで去って行った。
ボクは呆気にとられて、しばらく立ち竦んでいた。あれが所謂、ナンパってやつなのだろう。
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2013/12/21(土) 22:52:04.27 ID:YZI5cFkOo
……それにしても気障な男だったな。営業なんて言葉を使ってナンパするなんて。
――でも、悪い気はしなかった。
今思えば、彼がボクを車に乗せてくれたのは下心があったからに違いないけれど、だからと言って彼に嫌悪感を覚える事は無かった。
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2013/12/21(土) 22:53:38.28 ID:YZI5cFkOo
次にその名刺の存在を思い出したのは、その日の深夜、上着のポケットから財布を取り出した時の事だった。
財布と一緒にポケットに入っていたその紙切れは、財布を取り出す際にひらりと床に着地した。
ボクは名刺を拾い、ついでに何となしに名刺に目を通した。
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2013/12/21(土) 22:55:28.28 ID:YZI5cFkOo
別れ際の彼の台詞がフラッシュバックする。
「これはただの営業なんだけど」――あの言葉は、気障な口説き文句なんかじゃなかったんだ。
先程まではポケットの中で埋もれていた紙切れが、今は非日常へ続くチケットのように輝いて見えた。
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2013/12/21(土) 22:58:00.78 ID:YZI5cFkOo
「連絡をくれたって事は、アイドルに興味があるって考えていいのかな?」
二日後の午後、この前のバス停の近くの喫茶店でボクは彼と再会した。
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 23:01:34.08 ID:YZI5cFkOo
「興味があるか無いかで言ったら、ないかな」 ボクははっきりとした口調でそう言った。
ちなみに今日のボクは黄色のエクステを付けている。この前彼にあった時は学校帰りだったから、そんなもの着けていなかったけれど。
「じゃあ、なんで俺に連絡をくれたんだ?」
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 23:03:09.05 ID:YZI5cFkOo
「……この前、車の中でした会話を君は覚えているかい?」
暫くの静寂のあと、彼がふいにそう言った。
会話? 会話なんてしただろうか。この前の車の中では、延々とエンジンの駆動音を聞き続けていた記憶しか無かった。
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 23:05:18.02 ID:YZI5cFkOo
「正直、痛い子だなって、思ったよ」 そう言って彼は小さく笑った。
「よくそう言われるよ。自分でも自覚有るしね」 実際ボクはよく痛い子だとか、中二病だとか言われる事があった。
けれどボク自身それは嫌ではなかったし、むしろ嬉しいことだった。自分は他人とは違うんだってことが証明されたようで。
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 23:06:50.80 ID:YZI5cFkOo
彼はすっかり冷めたコーヒーを一気飲みしてから、話を言葉を続けた。
「君にはそれを感じた。平凡な日常を脱出して、非日常の世界に飛び込みたいという強い願い。その願いを叶える為なら、君は辛いレッスンに耐える事が出来るだろう。厳しいプレッシャーの中で最高のパフォーマンスを発揮する事も」
これまでにない、強い口調だった。
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 23:08:57.07 ID:YZI5cFkOo
コーヒーが運ばれてきた。
ボクはブラックのままのコーヒーに口をつけた。
……熱い。そして苦い。予想以上の苦さに顔をしかめたボクを見て、彼が笑った。
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