13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/22(日) 22:20:07.01 ID:QCk4Nap1o
それからまたしばらく黙々と二人で進んだ。
右に小さな橋が川をまたいで掛かっていて、向こうに大きな建物の影が見えた。
確か小学校があったはずだ。かつてはぼくも通っていた小学校である。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/22(日) 22:20:32.81 ID:QCk4Nap1o
仕方なくぼくは別の話題を探した。
シナノのような若い子の話すことなんて分からなかったし、同世代とだって上手く話せない自信があったけれど仕方なくだ。
「夜って閉じてるよね」
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/22(日) 22:21:07.96 ID:QCk4Nap1o
「暗くなると視界が利かなくなるせいかな、見渡せる範囲が狭くなる。
きっとそれでどこにも行けなくなるんだとぼくは思う」
「気分の問題じゃない?」
その時シナノが大きくよろめいた。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/22(日) 22:22:34.77 ID:QCk4Nap1o
ここまで
今晩までに完成したかったけれど失敗。少しずついきます
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/23(月) 22:39:59.15 ID:UxR6K1hvo
「夜の向こうには何があるかな」
ぼくがぽつりと言うとシナノは気のない声で、さあ? と返してきた。
「夜の次は朝だから太陽じゃない?」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/23(月) 22:40:28.09 ID:UxR6K1hvo
「コウは変な人だね」
シナノはそう言ったが声には特別なニュアンスはこもっていないようだった。
バッタを見て「あ、バッタ」と言うくらい当たり前に当たり前のことを言っている口調だった。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/23(月) 22:41:49.87 ID:UxR6K1hvo
大学生の頃、統合失調症と診断された。
その時のことはよく覚えていない。
急性期といって症状が一番顕著に出ていた時期だからだ。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/23(月) 22:42:32.76 ID:UxR6K1hvo
それでもまあ一旦適切な医者にかかればそれで事足りた。
現代医療の力は偉大で、ぼくは薬品の効力によってすっきりと再生し、今は夜の向こう側の探究に出ている。
それが健全なことかどうかは分からないけれど、とりあえずはもう恐怖はない。
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/23(月) 22:43:18.45 ID:UxR6K1hvo
再び川沿いに出る。
向こうに小学校よりも大きな影が見えた。
小山のように見えるそれは川をふさぐようにそびえていて、最初はダムかな、と思った。
看板表示が出ているけれどよく読めない。
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/23(月) 22:43:58.84 ID:UxR6K1hvo
シナノが商品を選んでいる間、ぼくは雑誌のコーナーで立ち読みを始めた。
こういったけばけばしいものは読み慣れていないのだけれど、夜の雰囲気は人の行動を少しだけ変化させる。
買い物を終えたシナノがこちらにやってきて横から紙面を覗き込んだ。
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/23(月) 22:44:48.06 ID:UxR6K1hvo
コンビニを出ると再び雪がちらつき始めていた。
風も少し吹き出している。
「寒いね」
シナノがぶるっと身体を震わせたので、ぼくは懐からカイロを取り出した。
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