過去ログ - 一年で一番長い夜
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24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/23(月) 22:45:20.77 ID:UxR6K1hvo
つづく


25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 19:17:46.54 ID:g5QUex70o

 相変わらず右手には川と土手があり、コンビニを離れると田んぼや畑が左手に広がった。
 暗いのも相変わらず。
 でも時計を見るといつの間にか八時をまわっていて、そうなるとなんとなく闇がさっきよりも濃くなっている気がしてくる。

以下略



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 19:18:38.18 ID:g5QUex70o

 ぼくは何の気なしに答えようとして、ふと答えられないことに気づいた。
「……どこだろう」
「わかんないの?」
「考えてなかった」
以下略



27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 19:19:06.64 ID:g5QUex70o

「じゃあなんで歩いてるのさ。こんな夜に」
「寒いのにね」
「おまけに暗い」
「だからじゃない?」
以下略



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 19:19:33.98 ID:g5QUex70o

 彼女の言っていることが分かったわけではないけれど、
むしろもっと分からなくなったのだけれど、なんだか分からないということがシナノという少女そのものな気がしたのだ。

「寒いねえ……」
以下略



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/27(金) 22:00:17.28 ID:EWTP6gU8o

 夜の闇がまたもう少し濃くなった頃、もう一人同行者が増えた。
「じゃあお前たちは知人同士ってわけじゃないのか」
 彼はそう言って陰気な顔でなるほどと頷いた。
「確かにそういう雰囲気じゃないな」
以下略



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/27(金) 22:00:44.04 ID:EWTP6gU8o

「まずくはないだろ別に」
「何かまずいの?」
 シナノにまで訊かれることになって、ぼくは少し恥ずかしくなった。
 まるでぼくだけいやらしい奴みたいじゃないか。
以下略



31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/27(金) 22:01:11.08 ID:EWTP6gU8o

 気まずさを振り払うようにぼくは彼に訊ねた。
「ぼくはコウスケ。彼女はシナノ。あなたは?」
「セミだ」
 ぼくは怪訝に思って、眉を寄せた。
以下略



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/27(金) 22:01:40.27 ID:EWTP6gU8o

「セミさんはどちらに?」
「いやまあ、決めてない」
「え?」
「変か?」
以下略



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/27(金) 22:02:16.46 ID:EWTP6gU8o

「夜が閉じてる?」
 間を持たせるためにセミさんにシナノにしたのと同じような話をすると、彼は興味深げに眉を動かした。
「分かります?」
「なんとなくは。どこにも行けない感覚ならよく知ってる」
以下略



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/27(金) 22:02:46.02 ID:EWTP6gU8o

「まあいいや。夜はメリーゴーランドに似てるんだ。いや、夜になって静かになると人生がメリーゴーランドじみてることに気づいてしまうのかもな」
 今度は人生観からのアプローチか、とぼくは真面目ぶって頷いた。
 いよいよ夜というものが分からなくなってきた気がする。

以下略



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