17:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:53:24.81 ID:wlhPVQqso
「もう一眠りしよっかな……」
ぽつりと呟きを漏らしながら、マドラースプーンでコーヒーに渦を描く。
希望ヶ峰学園の冬休みは退屈だった。
18:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:54:23.25 ID:wlhPVQqso
そんな下らない思慮が私の眠気を誘引した。
思慮し始めてから眠気の起るまでに、ほとんど時間は無かったように思われる。
深い沼から黒い影を引き揚げるように、ただ緩やかに誘発は行われ、完結していた。
19:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:55:28.49 ID:wlhPVQqso
「よし、寝る。寝ちゃおう、あたし」
独り言に続いて、深いあくびが口から零れ出る。
宣言通り布団に潜ろうと私は席を立つ。
20:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:56:17.69 ID:wlhPVQqso
甲高い電子音が部屋に木霊する。
溜息を吐く私は、常々考える一つのことを思っていた。
私の意志と達成との間にはだかる障害は、この世には余りにも多過ぎる。
21:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:57:12.55 ID:wlhPVQqso
「……誰だろ」
私は推測を始める。
まず思い至ったのは、最も親睦の深い級友だった。
22:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:58:17.19 ID:wlhPVQqso
「霧切に石丸、不二咲……あとは残姉か」
私は右手で指折り数えるのだが、折られたのは薬指までだった。
それほどに少ないのかと思うと、胸にはうら寂しさが募る。
23:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:59:24.05 ID:wlhPVQqso
そんなことを慮りつつ、私はドアを僅かに開ける。
押し込まれるようにして、外気が部屋へ流入する。
真冬の空に揉まれ冷え切ったそれは、決して厚着ではない私の体を震わせた。
24:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 10:01:47.89 ID:wlhPVQqso
「えっと、おはよう江ノ島さん。ちょっといいかなぁ……?」
「うん、別にいいよー。あ、メイクと着替えしてくるからちょっと待ってて」
「……メイクしてなかったんだ、ごめんねぇ」
25:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 10:02:39.40 ID:wlhPVQqso
仄暗い廊下を渡って、私は部屋へと戻った。
私の視線は部屋を往復した後に、テーブルへとあった。
卓上のマグカップの湯気は揺らめいて、あたかも烽火のように、その存在を再び私へと報せた。
26:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 10:04:07.30 ID:wlhPVQqso
「よし、防寒対策も完璧な上にオシャレ! さっすが私様!」
化粧を済ませて着替えることに、私はほとんど時間を必要としなかった。
というのも、私生活では最低限の化粧しかしないのだ。
27:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 10:05:46.96 ID:wlhPVQqso
私は再び玄関へと向かった。
この時には、あくびを噛み殺すことも少なくっていた。
靴を履き終えたところで私の動きは止まった。
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